10月1日から消費税インボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まる。課税事業者300万者の約9割が登録申請を済ませたとある。一方で、約160万者いるといわれる課税売り上げ1000万円以下の免税事業者はインボイスを発行できない。そこで、仕入れ税額控除ができない取引先から取引を敬遠されたり、これまで支払われてきた消費税分10%を削減されたりする事態が懸念されている。
▼インボイス制度のメリットには、① 複数税率制度のもと、仕入れ税額控除を正確に効率的に行える。② 税額が別記されるのでBtoBの取引で価格転嫁がスムーズに行える。③ 国庫に納められるはずの消費税が手元に残る「益税」問題が解消され、消費税制度の信頼が向上する。などがある。免税事業者でも登録すればインボイスの発行が可能だが、課税事業者となれば消費税負担が生じ事務の手数もかかることになる。
▼大きなメリットとして、インボイスの導入は、経済のデジタル化を進めていく大きなチャンスになるはずだ。デジタルインボイスにすることで、受発注から記帳、入金チェックなどのオフィス業務を効率化できる。リアルタイムの取引データは生産性向上に活用できるはずだ。企業の未来志向の対応が期待されるのだが、食品スーパーの現場では、意外と免税業者との取引が多い。代表的なものに地元野菜コーナーに納品する生産者がある。
▼激変緩和措置として免税事業者からの仕入れは、インボイスがなくても3年間は8割、その後の3年間は5割控除を可能にしている。また免税事業者が登録申請した場合の消費税額を3年間は売上税額の2割(売上げの約2%)に軽減する措置も導入している。「これは増税だ」的な論調での記事が、業界新聞や雑誌などに掲載されているが、本来の税制度を理解し、独禁法違反など起こす事の無いように、準備し対応をする必要がありそうだ。
2023/09/26