学校法人中内学園 理事長
1988年4月開校した流通科学大学。ダイエ-社長 中内 㓛が作った大学として脚光を浴び、実学を謳い文句に 就職に強い大学 最低でもダイエ-というイメ-ジで 応募数も定員の数倍という隆盛を誇ってきました。しかしながら 企業30年説同様 過去の名声に頼って さほどの改革をおこなわず過ごしてきた結果 創立から20年 その勢いに徐々に陰りが見え始め 2011年 新規入学生が定員を割る状態にまで なってしまいました。
その次の年も また 次の年も新規入学生定員割れとなり 遂には 2013年度 大学自体も定員割れ状態に陥ってしまいました。
2011年 初めて入学生定員割れを起こした年 それまで遂行してきた 3ケ年計画を捨て 新たな3ケ年計画を策定することにしました。
それは 大きく分けて2つ。
- 目の前の新入生の定員割れを阻止する
- 流通科学大学らしさを作り出す根本改革
の2つでした。
まず ①の目の前の新入生の定員割れ阻止に関して 目を付けたのが留学生でした。国内の日本語学校・海外の日本語学校との提携。 同時に 留学生用の奨学金の拡充等々を図り 留学生を基軸とした定員割れの阻止でした。その結果 2013年度を底に 徐々に定員割れは改善され 2017年度には 大幅に 定員を充足できるようになりました。その間 留学生は2011年度入学は58名程度だったのが 2017年度には 142名まで増加しました。
しかし それは 次の 根本改革までの時間稼ぎ 対処療法に過ぎない手段でしかありませんでした。
そして もう一方の根本改革。 2011年計画をスタ-トさせ 2016年度第一弾 その後 第二弾と実施してきました。その内容ですが 教育の根本を劇的に変えるというものでした。 2016年度 最初に打ち出したのが「流科大は 入学から半年間 授業やりません」でした。 入学初年次の教育改革 現在の「夢の種プロジェクト」の「探す」です。
まずは『探す』です。
流通科学大学は文系で 商学部・経済学部・人間社会学部の3学部7学科で構成されていますが、入学してくる学生たちの多くが、明確な目的を持っていないことに危機感を感じました。たとえば、弁護士を目指すなら法学部、医者なら医学部、建築技師なら工学部とか、目的が明確になる学部があります。しかしながら、流通科学大学のような文科系 特に 商学部や経済学部、人間社会学部の学生たちに「将来は何になりたいか?」と問いかけても ほとんどの学生が答えられないのが現状です。とりあえず大学進学 卒業後、何となく就職できれば良い みたいな感覚です。そうではなく、自分が何になりたいかの将来設計をきちんと考えてから 学んでほしい。たとえば中学、高校で英語を勉強してきていても、ほとんどの学生は実用になりません。高校の試験 また 大学試験に通ればいいという勉強の仕方だからです。
そこで、本当に英語に興味がある学生には早い段階で、短期でもいいから留学経験をさせてみる。そこで、「これからは絶対に英語だ」と思った学生に 帰国後、英語を教えると、吸収力が全く違います。このように 入学したら様々なところへ行き、色々な話を聞き、自分が本当にやりたいこと、なりたいものが何かを真剣に考える。他にも、ショッピングセンター等に行き、自由にフリーな立場で見る。そこで、自分が何に興味を持ったのか。何を知りたいと思ったのかを考える。その中で 同じ興味を持った仲間がチームとして集まり 話し合い レポート的なもので まとめていく。その中でも見方が異なり また新しい目を持つ。そうやって最初の半年間で色々な見聞をし、興味のある分野・事柄を探し、次の半年間でその興味が本当に確かなものかどうかを見極めてもらう。そのため 半年間 一般でいう授業を止め 「なりたい自分」を探してもらう。そして、2年生になる時に 見つけた自分の夢を実現するために 学部、学科を自由に
新たに選択できるようにもしました。すなわち 人間社会学部 観光学科で入学しても、後に マーケティング学科に転学部・転学科したり、見つけた夢を実現するために 転学部・転学科が自由にできるようにしました。見つけた自分の夢の実現のためには 大学時代に何をしなければならないか、勉学のみならず アルバイトやクラブ等 一般学生生活としても。それで作成されたのが 『学生生活モデル』です。これを基に 1年後期には 個々人が 確認し 夢に向かって歩き始めるというプログラムです。
これを体系つけたのが 2018年度 スタ-トの「夢の種プロジェクト」です。これは 2016年度スタ-トさせた「探す」に続くもので 見つけた夢を『育てる』・『咲かせる』です。