「米国チェーンストア」から学びたいもの ①

 「チェーンストア理論」、それは米国のトップ企業のモデル化であり、セーフウエィでありシアーズ、そしてウォルマートの成功例だと思うのだが、日本の小売業は学びきっているか。この考え方が、小売業の近代化に多大な成果をもたらせた事は間違いがない。ただ全てを学ぶ事ができなかった原因が、もしあったとすれば、それはどこにあったのかを考えてみたい。

▼コーネル大学RMPジャパンで何度も訪米したので、その時に過去とは違った客観的な立場で考えてみた。出店戦略、商勢圏づくり、商圏設定の考え方、品揃えの考え方、商品開発の方法、組織運営のあり方などを店舗見学の中で自分に問い続けたのだ。これはデータや専門知識に裏打ちされたものではないが、考え方の方向付けになればと思う。

▼先ず、ウォルマートの出店戦略であるが、商勢圏を定め、その商勢圏を商圏に分割し、それら商圏に効率的にアクセスできるロジスティックス・センターを設置し、各商圏に出店するというものである。いわゆる「面展開の出店」といえる。米国ではニューヨークなど幾つかの大都市を除き、多くの都市圏で生活と仕事(勤務)が同じで、移動手段としての車での使用可能範囲で営まれているが、日本では、都市中心部と生活圏は車で簡単に往復出来る範囲にない。しかも、日本でのビッグストア初期の出店は、未だ車の保有率が低い時代、日常生活に普及する前に始められたのだ。外部のセミナーに出席すると、業界発展のメルクマールのひとつとして車の保有率の話題が取り上げられていた。したがって、日本のビッグストアの出店は、当初は生活圏ではなく、電車で集まりやすい駅周辺の拠点から開始された。「面出店」は不可能であり、学べなかったのは、米国と日本の土地事情にあった。

▼「面出店」が始まったのは、車が普及し、車生活圏が形成されてからで、セブン・イレブンが開業当初から面出店が可能だったのは、商圏が狭かったからである。ただ、このセブン・イレブンも会社設立時の出店戦略は違っていたようで、在庫問題など出店直後に噴出した問題解決の手段として面展開出店に舵を切ったと理解している。

(2021・10・26)