小売業発展の歴史の中で、購買頻度による業態分類論が盛んな時があった。購買頻度でフォーマットを決定づけるもので「購買頻度業態論」として、特に多くのアイテムを抱えるホームセンターを中心に盛んであった。購買頻度を統一すると価格帯の概要が決まる。これを前提に用途別の大分類を構成し、以下使用客層、購買客層そして規格、量目の違いに分類しての売場づくりを行うものだ。
▼SM業界でも、非食品をどの範囲で品揃えをすべきかを論じる時に、この購買頻度を物差しにした記憶がある。その時の「購買頻度の高い非食品は、口に入らない食品と概念規定して品揃えしなさい」というコンサルタントの言葉が耳に残っている。この考え方でSMとしての利便性はこれまで、そしてこれからも提供できるものと思う。
▼しかし、何十年も前になるが、米国店舗視察で初めてホーム・デポ(Home Depot)を見学した際に受けた衝撃は大きいものであった。ホームセンター業態ではなくリフォーム・建設資材・サービスの小売チェーンだと説明を受けたが、買物頻度での括りではなく、Do It Yourselfする生活スタイル実現の為のそれになっていたのだ。購買頻度以外の基準で品揃えがされていた。トイらザスもイケヤも分類は、買物頻度が高い、低いという物差し以外にもあった。ミール・ソリューションというテーマのSMの存在もあった。エイチイーバット(H.E.B)のセントラルマーケットフォーマットの店舗であり、他のSMとは異なる独自のレイアウトで品揃えがなされていた。Wholefoods、Trader Joe’s Market、Aldiなども、それまで聞いていたSMのあるべき姿とは違っていた。
▼そして、その品揃えをNB商品とPB商品で実現していたのだが、PB商品の役割が当時の日本のそれとは異なっていた。専門店だと感じた。出発点である戦略が違っているのだ。日本でもストア・ブランド(SB)で品揃えしているセブン・イレブンの本質は「専門店」なのだ。SMも自社を専門店として位置づけられる店舗がこれからは増えるはずだ。
(2021・10・30)