消費市場が大きく変化するなか、当然のことながら勝ち負けも、更にはっきりしてきていることも事実です。大きく成長を遂げているのはやはりEC勢で、アマゾン(Amazon.com)は「プライム」会員数が、全世界で2億人を超えたと発表するなど隆盛を極めています。また、多様性の尊重や環境問題への対応など、昨今の社会情勢をとらえた企業も支持を集め、業績を伸ばしています。
▼毎年7月、修了講義を受講する為にコーネル大学キャンパスを訪問していますが、米国小売業の情勢把握のため、全米小売業協会が発表する「Hot 25 Retailers」を見て行きます。これは、売上高伸び率の高い企業のランキングを発表されるものです。企業規模ではなく伸び率によるランキングですのでその年の注目企業、業態がわかるのです。2020年発表のランキングには、日本のドン・キホーテが24%増で4位に位置付けられております。
▼今年のランキングはコロナ禍の影響が強く反映されたものでした。ネット通販の需要が急拡大したことで、大きく伸ばした企業は、1位から7位までがOnline Retailerでした。1位は売上高99.4%増、約2倍の売上を上げたWine.com。ワイン専門のEC企業です。2位のOverstock.comは在庫過剰の家具、返品された家具などをネットで販売する家具のEC専門店。3位のBoohoo Group は英国を本拠とするオンライン衣料専門店。4位のWayfairは家具や家庭用品の専門EC企業。5位は花や食品のギフトを取り扱う1-800-Flowers.com。6位のBoxed.comはオンライン収納箱をメインとする卸売小売業。そしてAmazon.comが7位にランクインしているのです。全米第2位の企業が成長率でも7位にいるのですから、驚くべき事実です。
▼米国小売市場は、オムニチャネル化を推進し成功している企業、高いブランド力を誇る商品を有する企業、そして社会の潮流の変化を機敏にとらえた企業が好調の波に乗っているという2020年であったようです。
(2021・11・4)