「米国小売業」:消費市場の変化とそれへの対応 ⑥

 『激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ』があります。業界誌で活躍されている流通コンサルタントの後藤文俊さんの米国小売業・情報発信サイトですが、最新情報満載のブログです。そこに「レポートや研修報告書の作成時にブログ記事や写真・画像・グラフ等ご自由にお使いください」とありますので情報源として活用させて頂きました。

▼ここ一年の間にフードテックに関する情報がたくさんありました。内食需要が高まるなか、家庭向けに開発された技術やサービスについてSMの取組が解説されていました。日本でも同じでしょうが、米国ではコロナ禍で料理する頻度が増え、自炊が続いたようです。しかし、長く続いたためか、「家庭での料理に疲れを感じる」と感じる割合が高まっているようです。そこで、広がりを見せているのが、レシピの検索・閲覧から材料のリスト化、ネットスーパーでの注文までをオンラインで出来る「Shoppable recipe」サービスで、日々の献立に役立つソリューションの1つとして活用されています。

▼Amazon.comやWhole Foods Market、Albertsonsと傘下のJewel-Osco、Safewayなど14社と提携しサービスを提供しているのが、Shoppable recipe platformの「Anycart」です。メニューや食材のカテゴリー、ライフスタイル別にレシピが検索でき、選ぶと必要な材料がまとめてオンラインの買物かごに追加される仕組みです。レシピは専門のシェフが監修したもので、調理工程もオンラインで画像や動画により視覚的にも分かり易く表現され、おいしく料理を仕上げられるよう工夫されているものです。

▼Krogerは、AIスタートアップ企業Clarifaiらとの提携によって「Chefbot」を提供しています。家庭にある3種類の食材の画像を専用ツイッターアカウント宛てに投稿すると、画像解析により約2万件のクローガーのレシピから最適なものを瞬時に教えてくれるものです。家庭にある食材から最適なレシピを導き出す独自のオンラインツールを開発しているのです。最先端技術を活用し、豊かな内食中心の食生活をサポートするサービスは、今後もいっそう進んでいきそうです。

(2021・11・6)