SM(スーパーマーケット)各社を始め、小売業界各社の2021年度第2四半期決算が出揃いました。コロナ禍での影響を含め、今後の戦略を考える上でも注目が集まっています。特に国内流通大手2社の動向は、コロナ禍で打撃を受けてきたGMS(総合スーパー)やCVS(コンビニエンスストア)といった中核事業の動向を含めて気になるところです。数値の羅列になりますが、イオンとセブン&アイ・HDの第2四半期決算を見たいと思います。
▼イオンの22年2月期第2四半期連結決算は、営業収益が4兆3449億円(対前年同期比1.7 % 増)、営業利益が777億円(同129.4%増)、経常利益が779億円(同178.6%増)、当期純利益は45億円(前年は575億円の赤字)で増収・営業増益となり、中間決算としては過去最高を記録、最終利益も黒字転換を果たしております。
▼食品小売事業を中心としたセグメントでは、SM事業の営業収益が1兆3820億円(同8.5%減)、DS(ディスカウントストア)事業が1960億円(同4.1%減)とコロナ特需の反動を受けて減収しております。営業利益もそれぞれ同150億円減、同16億円減となっていますが、19年度の数値との比較では、いずれも増収・営業増益です。
また、GMS事業は同3.6%増の1兆5329億円、サービス・専門店事業が同13.8%増の3459億円といずれも増収を果たしました。GMS事業とサービス・専門店事業は前年同期に引き続き営業赤字でしたが、その損失額は、GMS事業は354億円から162億円に、サービス・専門店事業は146億円から13億円へと、大幅に圧縮しております。
▼GMS事業は営業収益も同3.6%の増収となり、復調の兆しを示しているようです。牽引役が食品部門で、イオンリテールの同部門の既存店売上高昨年比は2.2%増と伸長しています。コロナ禍での食品に対する需要増に加え、ネットスーパーの利用増が大きいのです。受注枠の拡大や予約企画の強化でネットスーパーの売上は対前年比21%増と大幅に伸長しており、店舗受け取りの利用数も8月度に過去最高となる1万件を超えたとの事です。
いまネットで注目すべきは、ビッグストアのネットの繁盛ぶりです。ビッグストアの「ネット」の果たす戦略的役割は、SMに、これまで以上の大きな影響を与える要因になりつつあるのです。
(2021・11・26)