流通大手2社の2021年度 第2四半期決算 ②

セブン&アイの22年2月期第2四半期連結決算は、営業収益3兆6464億円(対前年同期比30.8%増)、営業利益1861億円(同3.6%増)、経常利益1734億円(同1.0%減)、当期純利益1065億円(同46.9%増)の増収・営業増益でした。これは、国内・海外CVS(コンビニエンスストア)事業が回復傾向にあることが主な要因です。「国内CVS事業」では営業収益4458億円(同4.0%増)、営業利益1233億円(同4.3%増)で、「海外CVS事業」では営業収益1兆8878億円(同74.5%増)、営業利益571億円(同36.5%増)と好調でした。

▼SM(総合スーパー)やGMS(総合スーパー)を中心とする「スーパーストア事業」の営業収益は9011億円(同1.4%増)、営業利益は110億円(同38.0%減)の増収・営業減益でした。営業減収は、販促活動の再開などの影響があるようです。「百貨店・専門店事業」の営業収益は3324億円(同7.2%増)、営業損益は昨年より27億円改善したものの、77億円の赤字です。コロナ禍で密を避ける意識が根強く、厳しい状況が続いています。

▼CVS業界は、オーバーストアなどの課題に加えコロナ禍の消費行動の変化などにより成長継続が難しくなりつつあります。その中にあって、既存店の持続的成長を目指し、購買行動の変化に対応した商品構成の見直しが始まりました。出店エリアに適した商品カテゴリーの拡大や新レイアウト導品、「ダイソー」や「ロフト」の雑貨類の実験販売によるワンストップショッピングへのニーズに対応などを推進し始めました。宅配ニーズに対応し、「ネットコンビニ」の展開も拡大し、リアルタイム在庫システムの連携や「最短30分お届け」などの利便性向上施策の結果、こちらの売上も順調のようです。

▼決算説明資料によると、「ネットコンビニ」利用者は、買上点数でリアル店舗の利用者と比べ2.8倍、客単価は3.1倍と高い効果が表れています。今後は、現在の約550店舗の「ネットコンビニ」対応店舗を、23年2月末までに約3000店舗にまで拡大する計画であり、サービス名も「7NOW」とするとのことです。また、セブン-イレブン・ジャパンでは22年2月から「スマホレジ」の実験を始める計画で、これによりレジにかかる人件費の削減、そのぶんを店内調理や接客に充てて店舗の付加価値を高めていきたい考えのようです。

ここでもビッグストア2社の動きは、SMに、これまで以上の大きな影響を与える要因になりそうです。

(2021・11・27)