流通大手 グローバル企業の戦略は・・ ②

ファーストリテイリングの決算発表(10月14日)の席で柳井会長兼社長は、『ファーストリテイリング 今後の展望』について、何が重要だと考えているのか、さらに今後、どの様な考え方で経営を進めて行くのかを話されました。これは、決算説明会資料にもありますし、マスコミ各社がネット上に取り上げておりますので、是非、見て頂きたいと思います。その中で「独立自尊の商人」と「グローバル化の流れは変わらない」ことについて述べた内容が次のものです。

「独立自尊の商人」:私たちはグローバルに事業を展開する企業として、お互いに利益があるフェアな取引をし、その国の社会を豊かにしていくことが使命です。そのような明確な理念を持つ「独立自尊の商人」として、自らの信念と現実が違っていたら、勇気を持って「それは違う」と発言しなければなりません。目先の利益のために、安易に政治的立場に便乗することは、世界のさまざまなお客様の期待に応えることにはならず、それは、ビジネスの死を意味します。長い目で見て、決して企業のためにも、社会のためにも、国のためにもなりません。これは私の商人としての信念であります。

「グローバル化の流れは変わらない」:コロナの感染拡大で、各国の経済が内向きになり、鎖国のような状況が出てきています。大国どうしの政治的対立で、世界経済を分断しようとの動きが強まっています。しかし、それでも現実に、情報は世界を絶え間なく行き来していますし、ビジネスも世界中で行われています。国と国を分断しようとする試みは、決してうまく行きません。大国どうしの対立は、当事国だけの問題では済みません。周辺地域や近隣諸国は壊滅的な打撃を受けます。そのような事態を避けるため、企業も、個人も、国も、あらゆる手段を尽くし、すべての国が共存できる世界をつくらなければなりません。

▼そして米国事業は、「閉めるべき店舗をほとんど閉鎖し、結果、下期は黒字体質になった。これからは西海岸と東海岸の主要都市に限定して店舗展開する。米国でも№1のアパレル企業になるが、今の力ではなれない。輸送手段を新たに構築し、出店をゼロから進める。ECビジネスが全盛で商業施設に出店する企業が少ない。だから逆に出店環境はいい」と意気軒高でした。新しい時代が始まったようです。

(2021・11・29)