21年は業界再編の動きが目立った年でした。イオンはフジを3月に買収すると発表、エイチ・ツー・オーリテイリングは、イズミヤ、阪急オアシスを関西スーパーマーケットと経営統合させる計画を公表、その後、オーケーが関西スーパーを買収するとの意向を表明するなど業界のみならずビジネス界を騒がせ、世論の注目を浴びることになりました。臨時株主総会で承認された統合に関し、その後の動きはご存知の通りです。関連する複数の企業に何名もの修了生が所属しておりますので、結論の出た今ですが、これからも自信をもって「店を守って下さい」という言葉しか見つかりません。
▼専門店チェーンでも、ニトリと島忠の経営統合もありました。人口減によるパイの争奪戦、過疎化の進行、世帯所得の減少など、業界を取り巻く環境はますます厳しくなってきます。コロナ褐による優勝劣敗、最新デジタル導入による格差など、新たな動きに適応できる企業と、そうでない企業が顕在化して来るでしょうから、加速する可能性も高いのです。
▼考えて見ますと、小売業界の歴史は再編の歴史とも言えます。規模拡大でバイングパワーの強化、商勢圏の拡大、規模拡大の時間の短縮、優秀な人材・ノウハウの獲得など、企業買収・合併の狙いはありますが、いたずらな規模拡大だけでは、これらを達成することは難しいのです。日本の小売業は、10年ごとに大きな再編を繰り返して来ましたが、バブル崩壊による消費構造の変化や新興勢力による業界の世代交代によるものです。環境の激変が新たな再編を引き起こす要因なのですが、歴史的な出来事は日を改めて整理します。
▼業界の再編が起こるの最大要因は、「消費者(生活者)の変化」にあるはずです。その変化にどう対応出来るかで、消費者にとっての企業価値が決まるのですから、小売業の革新はそのニーズ変化にどう沿って行くかになります。そしてこれからは、人口減少の中で売上シェアを維持し拡大する為に、更には新たな需要を取り込むことを目的とした再編が行われるはずです。M&Aに慎重だったヤオコーも(株)エイヴイ(神奈川県横須賀市)に続いて(株)せんどう(千葉県市原市)と資本・業務提携を発表しました。無印良品がSMとのコラボ店舗開発を行っており、その店舗数を増やしています。お互いの強みによる相乗効果を発揮させながら、施設全体の集客力を高めていくのを目的にしていますが、自社単独で勝ち残っていくよりも、パートナーを見つけて、共同で競争力強化を図る動きも出て来ています。
(2021・12・18)