雑務集合体の仕事の「意味」を伝える大切さ・・

一昨日、新聞に掲載された記事「若者にとって新自由主義は初期設定」と、それに伴う若者の就業観の一部について触れさせていただきました。それを見てくれた知人から、「あるコンサルタントの意見になるのだが・・・」と前置きして、次の情報を伝えてくれましたので述べたいと思います。

▼その内容は、多くの卒業予定の学生が、あまり就業を望んでいないというものでした。コロナ禍の影響の結果だけでなく、ここ数年の傾向とのことです。留年は出来ないし、親からの援助はいつまでも期待してはいけないので「取り敢えず就職」だけでもしておくかとの学生が意外に多いとのこと。それも「働く」ことが嫌だからではなく、「本当にやりたい、好きなコト」に巡り合えないというのです。また、「本当にやりたいコト」はあるのだが、その仕事に就く自信がないので、取り敢えず就業だけはしなくてはという心理情況によるものなのでしょう。結果、1~3年で転職する人が極めて多くなっております。原因が就業の出発点にあるのでしょうか、SM(スーパーマーケット)業界でも、昇格、昇任を断る中堅が増えているとも聞きます。昇格、昇任は賃金の増加を伴うから嬉しいが、責任ある地位には就きたくないというものです。「アルバイト感覚」での就業で、本当に大事にしたいのは、好きなことをする「自分の時間」になるようです。

▼この難問を解決するには、「これまでの『組織・教育の常識』を疑ってみることだ」とそのコンサルタントは述べているとのこと。ハッキリしているのは、「わが社の将来性」や「その使命」などを声高に語っても響くことはない。これらの言葉が響くのは、仕事に熱意を持っている人々にのみ「説得力」として届くというのです。では、半ば「引いて」「諦めかかっている」気持ちの人たちに響くコトバとはいったい何になるのでしょうか?

▼仕事のほとんどは、それだけ取り、切り離してみるとすべてが「雑務」です。各人が担当している「雑務」、単純作業といってもよいのかも知れませんが、この雑務を組み合わさることで意味ある「仕事」になっているはずです。「流通業の大義」や「わが社の理念」を語る事も大事ですが、彼らにはこの雑務の集合としての仕事の「意味」を教えることが先になるのかも知れません。私も就職した最初の会社で、部門の主任から「単純作業こそ改善の余地が多い」と指導され、妙に頑張った記憶があります。これまでやってきた仕事、いまやっている仕事、これからやるはずの仕事がどんな意味のある「仕事」に繋がるかをしっかり伝えられるミドルマネジメント育成が大事な時代のようです。

(2021・12・21)