大晦(おおつごもり)になりました。あと数時間で2021年も終わりますが、今年は、年明け早々に2度目の緊急事態宣言が発令、その後4月に3度目、7月に4度目とほぼ宣言ずくめの年でした。外食や旅行を控えた分、SM(スーパーマーケット)には追い風の状況が続きました。しかし、10月の宣言解除と不思議な程に急速な感染者減少、それに伴い特需とも言えたSMの売れ方にも変化が見えて来ておりました。それは、11月度の既存店売上高前年比に現れ始め、前々年比(コロナ前比)がマイナスとなり始めているのです。コロナ前の水準に逆戻りするだけでなく、コロナ前よりも売上げが悪化の店舗、企業が現れ始めているのです。
▼「年末商戦の結果は、一年間の成績票」だと良く言われます。年末・正月用品を一番信頼している店舗で購入するからです。自社(自店)が持つ商圏内の自社を最大評価して下さる顧客が来店する日と考えて下さい。何十年も前の話になりますが、大晦日の売上の100倍が年商になると言われる事がありました。12月31日に、2000万円の売上であれば、その店舗は年商20億円規模だというのです。それ故、取りこぼしの無いように大晦日の売場づくりを確実に展開して欲しいのです。
▼来年以降の事を考えますと、コロナ前のSMは長く停滞基調だったのですから、年明けからは業界全体が苦境に立たされる可能性も少なくありません。なおさら、良い成績を残して越年したいものです。2022年は、原料費や輸送費の高騰による食品価格の値上げなどコストアップ要因が原料系の高騰が周辺商材に波及して来ました。直近では冷凍食品や醤油、加工肉、練り物、コーヒー、ウイスキーなどが値上げを発表しております。食用油は5度目、マヨネーズは2度目の価格改定を発表しており、この傾向は、暫くは解決を見ないというのが業界関係者の一致した見方です。更に、外食の通常営業に伴い、一時期落ち着いていた人手不足感も再び強まりそうですので、採用コスト増も避けられないでしょう。キャッシュレス決済に対する手数料も、利益率の低いSMにとっては重い負担といえます。
▼来年は、現場の効率化をどう図れるかがSMの焦点となりそうです。22年もDX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性改善の動きは活発化すと見られますが、この約2年間の特需で稼いだ資金を積極的に投下し、一足早く準備を進めていく企業ほど、今後の戦いを有利に進められそうです。
一年間、本当にお疲れさまでした。もうひと踏ん張りです。そして良いお年をお迎え下さい。
(2021・12・31)