2022年予測:所得は低迷、物価は上昇、受け入れられない消費者

コロナ禍もワクチン接種が進み、世界の多くの国で経済活動が活気を取り戻した。世界はノーマルに戻りつつあると考えられていたが、これは表面的なものにすぎないということになりそうだ。「オミクロン・ショック」が起き始め、これからどうなるか予想がつかない。新型コロナウィルスの破壊力を抑え込めてはいなかったということになる。

▼このような中での経済動向予測は極めて難しい。目の前のリスクと闘い続ける年にならざるを得ないであろう。急に局面が変化してしまうからだ。多くの国では、ワクチン接種率向上と共に、経済活動への制約はほとんど取り払われた。しかし、足元では欧米を中心にオミクロン株感染者の異常増加で経済対策を取らざるを得ない状況になりつつあるのだ。日本でも感染の抑制と経済活動への制約が解かれることで消費は盛り上がっているが、この消費が維持されるかどうかは微妙と言わざるを得ない。

▼そこで、オミクロン株による影響を除けば、今年度の世界経済を占う上で最も重要なポイントは「物価の動向」になる。現在の物価上昇率は、多くの先進国で中期的な物価目標を上回る勢いで上昇している。この世界的な物価上昇は、主に供給側の制約によるものだ。ただ、行き過ぎた物価上昇は、消費にとってマイナス要因だ。日本の物価上昇率は、欧米に比べると低位に収まっている。日本では価格に対する消費者の姿勢が非常に厳しく、原材料価格の上昇分を販売価格に転嫁することは困難なのだ。小売業は価格転嫁を抑制せざるを得ず、商品の物価上昇は限定的なものにとどまる可能性がある。小売業収益の圧迫要因である。

▼バブル崩壊以降の日本経済は、消費の低迷が販売価格の引き下げを生み、それが企業の収益性を悪化させ、人件費の圧縮をせざるを得なくなる。それが再び消費低迷という悪循環を繰り返してきた。これと同じことを繰り返すとは考えにくいが、所得低迷が続くなかで、消費者が物価上昇を受け入れられる力は極めて小さいといえる。消費者の所得改善が必要となるのだが、コロナ禍の影響でサービス業界では、所得改善できる企業は多くはない。製造業界でも、原材料コストが上昇している中では競争力の高い一部の企業以外は難しい。こうした環境を考えると、小売業もコストの削減や生産性の向上をより強く迫られる。デジタル技術の利用や機械化はさらに加速していかざるを得なくなりそうだ。

(2022・01・06)