2022年予測:中国問題、円安も悩ましい問題に・・・

食料などのインフレへの対応が2022年の重要課題となる。異常気象やコロナ禍の影響で穀物などの供給が不安定になる中、脱炭素化の進展が需要と生産コストを押し上げているのだ。国連食糧農業機関が算出する食料価格指数(14~16年=100)は昨年11月時点で134.4、前年同月比で27%上昇している。国際的な先物価格でも、食用油の原料になる菜種は20年末に比べて70%も上昇し、砂糖は21%、小麦は22%高となっている。

▼経済成長を続ける中国の飼料需要増、各国の脱炭素政策実行によるバイオ燃料の消費が拡大している。しかも脱炭素は、天然ガスの高騰につながり、肥料価格の上昇が穀物の生産コストも押し上げることになる。10年前は食料高騰後に生産が急拡大し、需要増に対応できた。脱炭素を背景とする食料高は長引きそうで、更に新興国が混乱すればさらなる供給制約を生むとの見方も出ている。

▼この外、2022年に考えられるリスク要因に、中国問題と円安の進展リスクがある。

中国問題は、米中関係の緊張の高まりがあり、バイデン政権が人権に焦点を当てたことで、西側諸国共通の問題へと変わってきた。米中両国で重要な政治イベントが控えているため、両国とも弱気な外交姿勢は見せにくいタイミングであるので簡単には解決しないと思える。 為替相場は、2カ国間の金利差が変動要因となるのだが、日米間の金利差は拡大し、円安圧力は強まっていくと予想される。これも輸入価格を押し上げる。

▼「他の国に買い負ける」とよく言われるが、価格が上昇しても消費者が買う国と、価格の転嫁が難しい国とでの戦いでは結果は明らかだ。

日本を含めた先進国では、重症化リスクが低下した新型コロナウィルスと共存する形で経済活動は正常化するだろうと思われていた。しかし、日本も6日の新規感染者数が4,000人を超えるという異常なスピードで増加している。世界経済にとって、グローバルな需給逼迫とこれによる物価上昇が大きなリスク要因になる可能性が極めて高い。スーパーマーケットも商品確保の課題と価格戦略をどう展開するべきかの悩ましい問題を乗り越えなくてはならない。

(2022・01・07)