昨日1月15日は、「小正月」と言い、古くから伝わる習わしでは、この小正月で正月行事に一区切りをつけたものだ。何かとせわしい現代では、中旬になる前に日常に戻っているのだが、近くの神社では、正月飾りを燃やす行事「左義長(さぎちょう)」が行われていた。場所によっては、「どんど焼き」「どんと焼き」「さいと焼き」などの呼び名がある行事だ。
門松やしめ縄、だるまなどを積み上げて炊き上げる行事だが、焼くことで“年神様を天上に送る”という意味が込められていて、炎が高く上がるほどご利益があると考えられてきたのだが、住環境の変化を考えると形ばかりのものに成らざるを得ない。関心が薄くなりつつある年中行事や季節の移ろいだが、本来は小正月の行事をもってお正月が終わったのだ。
▼お正月が終わったのを理由に各地の友人に連絡をとってみた。コロナ禍2年目の昨年度も、引き続き各社の業績は堅調なようだ。勿論、一昨年ほどの勢いは見られないものの、多くの企業がコロナ前の19年度の業績をクリアしている。コロナ禍で、生活様式や購買行動が変化しつつあるが、20年と21年の違いとして挙げられたのが「総菜・寿司・ベーカリー部門が復活」したことだ。コロナ禍が長期化、その中で「調理疲れ」が見られるようになると、前年の反動を含め売上は回復傾向にあるという。コロナ前から伸長傾向にあったのだが、味や品質を追求した自社にしかない総菜の品揃え強化に取り組み始めたSM(スーパーマーケット)も多い。
▼「冷凍食品のニーズも急速拡大」しつつあるようだ。弁当のおかず用商材だけでなく、冷凍野菜などの素材系商品や一食完結型のメニュー、冷凍パン・スイーツなど大幅に品揃えを拡大したり、冷凍食品にEDLP(エブリデー・ロー・プライス)の導入を開始したりするSMも少なくない。また、選ばれる店になるための基本戦略として、SMの強みである生鮮食品を軸に、カット野菜や魚の切り身、味付け肉などを拡充、「利便性の提供」に取り組む。また、自社にしかない、来店動機となるような「独自商品の開発」に力が入っている。競合との差別化のために味や品質を追求したり、NBにはないニッチな商品を開発したりする企業が多くなってきた。しかも、消費者の生活防衛意識が高まり、節約志向の強まりを感じ始めてもいる。「食品の原価や輸送費が高騰している」という厳しい状況の影響も出始めている。「経験したことがないほどの原材料の高騰が起こっている」と危機感を伝えてくれた人もいた。
▼新型コロナのオミクロン型の変異ウィルスの感染力はすさまじい。14日の新規感染者は全国で22,045人(東京は4,051人)と多く、しかもそのスピードは速い。このウィルスは、エッセンシャルワーカーとしての小売従事者に休む暇すら与えてくれないのだろうか。十分注意を払いながら小正月明けの業務にあたって頂きたい。
(2022・01・16)