遅まきながら「2021年 流通業10大ニュース」を見る

毎年、楽しみにして待っているものに「流通業界10大ニュース」の発表がある。ひとつは日本チェーンストア協会が発表する「~チェーンストア広報担当者が選ぶ~ 2021年チェーンストア10大ニュース」であり、もうひとつが(株)ダイヤモンド・リテイルメディア社が発刊する『DIAMOND Chain Store』誌の「ダイヤモンド・チェーンストア編集部が選ぶ流通業界10大ニュース」だ。楽しみにしている理由は、前年1年を振り返り、流通業界はどんな状況であったのかを客観視してみて、自分自身がどれだけ関心をもって受け止め、また、係わったかを確認したいからだ。

▼2021年も新型コロナウィルス感染の動向に翻弄された年だった。その中でも更なる成長をめざす企業がみられ、大型M&A(合併・買収)、新業態の開発などで流通業界をにぎわせたニュースが数多くあった。先ず、『DIAMOND Chain Store』誌から見て見たい。

▼編集部が選んだ第1位は「オーケー vs H2O、関西スーパー争奪戦が勃発」だった。経緯については改めて記述する必要はないだろうが、12月15日にH2Oと関西スーパーは、株式交換を実施。関西スーパーは22年2月に発足する持株会社「関西フードマーケット」に商号を変更し、その傘下に新事業会社の関西スーパー、H2O傘下のイズミヤ(大阪府)、阪急オアシス(大阪府)のSM(スーパーマーケット)事業会社3社が入る。その結果、単純合算で売上高 4000億円以上の関西最大規模となるSM連合が誕生することになる。

▼続く第2位は、「ヤオコー新業態、『フーコット』が始動」。コロナ禍でより高まった低価格志向に応えるため、ヤオコーが新たに打ち出したディスカウント業態である。22年3月に早くもフーコット2号店を東京都昭島市に開店する計画だ。消費者の生活防衛意識が高まっていく中で、新ディスカウント業態はどれほどの存在感を示していけるかが興味深い。

第3位にランクインしたのは、「快進撃止まらぬロピア」だ。20年9月に関西進出を果た し、業界中の注目を集めたロピアが、21年11月には関西7号店となる「京都ヨドバシ店」を出店した。このロピアは外食事業の展開にも積極的で東京・銀座に完全個室制の焼肉店などを開店させたのに続き、21年1月に東京・白金にビストロを、6月にはパスタとデザートを中心としたイタリア料理店を出店している。(つづく)

(2022・01・20)

※10大ニュースの「オーケー vs H2O、関西スーパー争奪戦が勃発」などのタイトルは、『DIAMOND Chain Store』(2022年1月15日号)誌に記載されている文言のまま使用してます。