「コア事業」に経営資源を集中するのだろうか。

昨日の『日本経済新聞』1面トップは、「セブン&アイ・ホールディングスが、傘下の百貨店事業会社、そごう・西武を売却する方向で最終調整に入った。」というものであった。そごう・西武の今期業績予想は、営業収益4576億円(前期比3.9%増)、営業利益は45億円の赤字で、2期連続の営業赤字となる見通しとのことだ。

▼米国の投資ファンドが、公開書簡を送付し、コンビニ事業への経営資源の集中化を求めているとのニュースもあった。積極的な M&A などを通じて事業を多角化している企業において、単体それぞれの事業を営む場合と比較したとき、市場からの評価が低下し株価が下落している状況を金融経済用語で「コングロマリット・ディスカウント」というのだが、これを解消するための戦略として絵に書いたような良い戦略と評価する証券アナリストもいる。いずれにしても、不振が続いている百貨店事業を切り離し、海外を中心に成長を見込むコンビニ事業に経営資源を集中することになるのだろう。

▼この決断は、これまで磨きをかけてきたコンビニエンスストア事業に自信があり、海外でも開花する競争力を誇れるから出来るのだとも思う。公表されているセブン&アイ・ホールディングス傘下の企業各社の業績を見て、「コア事業」がどこかは明確だ。そうなると、次の焦点はイトーヨーカドーをどうするかになって来るのだろうか。私事になるが、小売業界にお世話になる切っ掛けは、イトーヨーカドー川越店(1967年の開店時)で買い物をしたことにある。古い話になってしまったのだが、本当に百貨店や総合スーパーは、時代に合わなくなってしまったのだろうか。変化の激しい時代なのだから、業態論は無意味で、変化対応できない組織は衰退するだろう。ただ、積み上げて来た安心(感)や信頼(感)、百貨店であるなら外商ネットワークを通じた顧客情報などの財産があるはずだ。これらの活用は出来ないのだろうかと考えてしまう。

▼SM業態でも、将来ビジョンを描けないまま、資本市場に振り回されることのないように足腰を強めておく必要がある。その為、我が社の「ミッション」を再確認し、「目標」は、具体的で測定可能なものになっているか、「外部環境の分析」をして脅威、機会を、「内部環境の分析」を通して我が社の強み、弱みが明確にされ、共有できているかを見ておきたい。その前提に立った「戦略の選択」、「戦略の実行」を通じての「競争優位」を持続するためのサイクルを加速して回して頂きたいと願う。

(2022・02・02)