ネットスーパーの話題を続けてきたが、日本生協連(日本生活協同組合連合会)の存在は大きい。まさにガリバーなのだ。全国120の地域生協トータルの売上高になるわけだが、2020年度の実績(供給高)で、3兆683億円(前年比11.8%増)となり、初めて3兆円を突破した。牽引役は宅配で、2兆1170億円で前年比14.9%の伸長。店舗も9513億円(同4.3%増)と好調なのだ。
▼コロナ禍で宅配が圧倒的な支持を獲得した。利用者は既存の組合員が中心ではあるが、新規会員も増えて2,996万人と3000万人に達する勢いだ。地域生協の2020年度の世帯加入率は推計値で38.8%との公表値もある。日本生協連も「20年度は普段の暮らしを支えるという生協の役割がより大切なものに感じられた1年だった」とのコメントを発表している。
▼コロナ禍の影響で、新規加入は、対面によるものからウェブ加入が伸長し、それも約2倍の件数を記録しているという。新規利用者の6割以上が20−30代で、新規利用者の7割が利用を継続する意向を示したという。日本生協連のネットスーパーだが、週1回の宅配で注文は前の週なのだ。即日配送、それもリードタイムを短縮しているSM(スーパーマーケット)に比べて使い勝手が悪そうに見えるのだが、「決まった曜日や時間での配達で予定が立てやすく、食材の利用も計画的になることから、むしろ生活サイクルに合っている側面もある」との評価だ。さらに、同じ担当者が同じコースを回ることでコミュニケーションが生まれている。外出自粛などで人と会う機会が減り、定期的に訪れる職員との会話を楽しみにしている組合員もいるという。担当する職員の働きがいにもつながっているようだ。
▼1960年代後半から共同購入方式で開始した生協宅配だが、70年代には今のスタイルが確立された。80年代にはOCR形式による注文を普及させ、物流センターの整備も進めて急速伸長してきた。90年代に入ると共同購入に加え個別配達が始まり、現在は個別配達(個配)が7割を占めるまでに拡大している。ヤオコーもセンター型で1986年に事業展開したのだが、当時、生協宅配は個配になったらコスト面での課題が生ずるはずと思っていたが、上手くクリアして来ている。50年以上かけて築き上げてきた宅配の仕組みが改めて評価された格好だ。究極的に各地のSMネットスーパーは、この生協宅配と戦うことになる。店舗出荷型ネットスーパー<小商圏・低単価・高密度>モデルの確立を急ぎたい。
(2022・02・12)