第24回冬季オリンピック北京2022は、今日、20日で閉会を迎える。数々の話題を残した大会になったが、女子のカーリングチームの活躍に胸を躍らせ応援を続けて来た。冬の競技はヘルメットやゴーグルなど顔が覆われてしまう競技が多いのだが、顔が見えて喜怒哀楽が伝わる競技のひとつがカーリングになる。日本代表『ロコ・ソラーレ』の選手たちの表情は豊かで、テレビ映えもする。今日、決勝だが、期待を込めて応援したい。
▼カーリングは、ゴルフと同じセルフジャッジ競技になる。試合途中で勝ち目がないと判断した時、潔く自ら負けを認めて相手に握手を求める形で示すコンシードもフェアプレーの表れと言われる。各チームが交互に8回ずつストーンを氷上に滑らせ、ストーンを円の中心により近づけたチームが得点を得る。これを10回繰り返し、総得点で勝敗を競う。ストーンは、ごく弱い回転をかけることで速度が落ちるに従い自然にカールしていく。進んでいくストーン前の氷面をスウィープすることで、速度の低下や曲がりをある程度コントロールすることができる。ただ、カールの度合いは、滑り具合やストーンの個性、氷の状況や温度、コースの使用状況で左右され、ゲーム中も変化し続ける。
▼競技はストーンを置く、他のストーンを弾く、他のストーンの背後に隠すなどの戦略競技だ。先天的能力よりも、練習量が多いほど有利となる。事前の予測と経験を元に相手の行動を先読みする想像力や、氷の状態やストーンの動きから即座に戦略を組み立て直す知能などが重視される。チームどの競技なのでコミュニケーション能力も重要である。こんな観点で見始めると経営戦略にも繋がって来そうだ。
▼自分(自店)の行為が相手(競合店)に影響し、相手が行動することで自分に跳ねかえって来る。このような相互作用がビジネスにはつきものだ。昨日も記載したが、このような相互作用のメカニズムの理解に欠かせないのが「ゲーム理論」だ。ビジネスは相互作用のもとで行われるため、「ゲーム理論」は、企業の経営、戦略、交渉、協調、組織原理などあらゆる事象の理解に役立つはずだ。著名な経済学者が「これからは、あらゆる分野で大学生になった時には『ゲーム理論』を学んでもらう必要がある」と言っていた。ゲーム理論の解説書に必ず出てくるのが「囚人のジレンマ」である。この囚人のジレンマの事例は「ゲーム理論」を理解する上で重要である。「囚人のジレンマ」を理解することから始めたい。
(2020・02・20)