日本を再び「水産大国」に・・・

日本に輸入された中国産のアサリが「熊本産」として出回っていたことが発覚、鮮魚売り場からアサリが消えるなど衝撃を広げている。この問題は1月22日、JNNが「報道特集」で報じて明らかになった。3年間の追跡取材に基づいたというショッキングな内容だったが、ちょうどこの番組を観ていた。その後、農林水産省が主要なSM(スーパーマーケット)への調査をした結果、「アサリ」は中国や韓国からの輸入が多いのに、21年10月~12月に販売量された99%が「国産」であったという。なかでも「熊本産」が約8割を占めていたという。20年のアサリ漁獲量は4400トン(輸入量は3万5370トン)に対し、熊本産は21トンでしかない。1970年代に、全国漁獲量の4割を占めていた「熊本産ブランド」なら消費者に好まれるとの思惑から、輸入や国内流通にかかわる業者らが不正を重ねてきたようだ。

▼農水産物や畜産物の産地を偽装する行為は後を絶たない。食品表示では、2カ所以上で養った場合、期間が長い方を産地とすることができる。今回は、これを悪用した格好だ。牛肉やコメではトレーサビリティー(追跡)制度もある。魚類も、流通にかかわる全ての事業者が正確な売買記録を残すことは取引の基本になるのだろうが、実施段階になると、とりわけ負担を嫌いがちな中小・零細業者にどう取り組みを促すかが課題になってしまっている。現在は、熊本産「蛤」の売れ行きまでも鈍るなどの影響もある。それだけ食品への関心が高いことの表れでもあろう。官民が協力して産地偽装を無くさないといけない。

▼ただ、考えなくてはならないのは、何故、産地偽装など食品表示上の問題が後を絶たないのかという事である。ひとつには漁獲量の激減にあると思われる。日本水産学会誌(2008 年 74 巻 2 号)によると「1960 年には 10 万トンであった。その後,一部に漁場の埋め立てによる減少があったにも関わらず,1982 年には 14 万トンまで増加したが,1984 年から激減して,1994 年にはわずか 3 分の 1 程度(5 万トン)になり,その後もこの水準が続いている。1984年以降のアサリ漁獲量の激減の主要因を過剰な漁業活動、すなわち親貝と種貝用の稚貝に対する過剰漁獲と結論づけた。それ以外にも、周年の過剰操業による底質擾乱は、稚貝の生残率低下を助長した可能性が高いと考えられる」とある。漁獲量はこの後も激減し、2017年7072トン、18年7736トンとある。

▼アサリだけでない過剰漁獲に関しては、コーネル大学RMPジャパンでも、生田 興克(まぐろ仲卸鈴与・一般社団法人 シーフードスマート代表理事)先生、花岡 和佳男(株式会社シーフードレガシー 社長)先生に登壇頂き、「持続する豊かな海を目指して」をテーマに講義をお願いして来ている。SMとしても、日本の漁業復活のためにも取り組まなくてはならない課題の一つである。

(2022・02・27)