「プラスチック資源循環促進法」(プラ新法)が4月に施行される。プラスチックごみの削減や再資源化に向けた法律で、小売りやサービス業にはスプーンなど12品目で削減が義務化されている。既存リサイクル法には、「容器包装リサイクル法」「家電リサイクル法」「自動車リサイクル法」などがあるが、これらはすべて製品に焦点を当てた法律になる。プラ新法は、すでにある製品が廃棄されたあと、どのようにリサイクル(=再活用)するか、という問題に目を向けたものになる。
▼環境省の説明をまとめると、基本的にプラスチックの不必要な使用はしないこと。どうしても使わなくてはならない場合は、再生素材や再生可能資源などの再生できるものに切り替える。他にも徹底したリサイクルを実施し、それが難しい場合には熱回収によるエネルギー利用を図ることで、「ひとつのプラスチック製品のライフサイクル全体で資源をなるべく循環させていきたい」というものとなる。
▼具体的には、① 環境配慮設計指針の策定(商品が「できる前」の設計、製造の段階で、環境配慮の方針を示す)、⓶ ワンウェイプラスチックの使用を合理化(コンビニのストローやスプーンなど、販売・提供段階での使い捨てプラスチックの使用を減らす)、③ 市区町村による分別収集や再商品化を促進、④ 製造・販売事業者等の自主回収を促進、⑤ 排出事業者に対する排出抑制や再資源化を促進の5つの措置を定めている。また、国が特定プラスチック使用製品として定めた12品目とは、フォーク・スプーン・ナイフ・マドラー・ストロー・ヘアブラシ・くし・カミソリ・シャワー用キャップ・歯ブラシ・ハンガー・衣類用カバーになる。前年度に提供した特定プラスチック使用製品の量が5トン以上の小売業(スーパー・コンビニ・百貨店など)、宿泊業、飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業、洗濯業の事業者が対象となり、環境負荷にならないように、提供方法を工夫することを求められることになる。
▼日本は1人当たりプラ容器包装の廃棄量が米国に次いで多い中で、消費者の環境への意識も年々高まっている。特にZ世代は購買の判断基準のひとつに「企業の正しい行動」があるという。環境に配慮した企業行動は、従業員が働く場所を選ぶ理由にもなっている。環境への取り組みは短期的なコストではなく、中長期な視点での投資と考える必要がある。同時にプラ新法への対応だけに捉われると目的を見失いかねない。何のために取り組むのか消費者とも共通の目的を持つための努力も大切になる。
(2022・03・16)