もう何年も前のことになるが、システム開発と物流を担当する時期があった。その時、社内は元より社外に対しても大きな声で宣言させて頂いた。「仕組みとしての営業」を担当すると。特に、スーパーマーケット(SM)にとって物流は、店舗の商品調達に関する活動が主になる。最寄品を取り扱うSMは、消費者の購買圏に出店を拡大し、そこに来店する消費者のニーズを満たす売場づくりに貢献しなくてはならないからだ。縁の下の力持ち的な部署のモチベーションアップを意識しての面もあった。
▼当時は、「ロジステック推進部」と呼称したのだが、売場づくりに必要な商品をより効率的に事前に調達しておく必要があると考えた。つまり、SMの物流の目的は、出店の促進、売場の要望に沿える体制づくり、店舗作業の効率化と考えたのだ。これを実現するためには、店舗と物流センターを中心に構成される必要があり、しっかりと統合することが重要になる。そして、出店の拡大に伴い、商品の調達量の増加や地理的な範囲の拡大に応じた物流システム構築が必要になる。その為、店舗におけるさまざまな要件に適合するように設計し、店舗の後方支援として、店舗に適合した物流サービスを提供する役割を担う必要がある。
▼多頻度小口納品、納品リードタイムの短縮、納品率の向上など、そして店舗作業に関係する定時納品、カテゴリー別納品などで店舗の商品調達を支える。さらに、卸売業者に対しては物流センターの機能に適合した形態で納品することを求めている。自社店舗を支援するために、自社専用の物流システムを、店舗の前工程にあたる商品調達プロセスを含めて構築しなくてはならないのだ。
▼どのくらいの小売業者が自社物流センターを活用しているのかを「2021年スーパーマーケット年次統計報告書」(全国スーパーマーケット協会など3協会発行)で見ると、SMの物流センター活用率をみると仕分け機能が中心で保管機能を主としない通貨型(TC)タイプが73%、保管・機能を持つ在庫型(DC)が54%であり、大半の企業が物流センターを活用している。店舗数規模別にみると、店舗数が多いほど活用率は高い傾向にあり、出店の拡大と物流センターの活用には深い関係がある。
経営を取巻く環境を考えると、ますます「仕組みとしての営業」が意味を持って来ると思える。
(2022・04・04)