ヤオコーの子会社「株式会社 フーコット(埼玉県比企郡)」が新店をオープンした。「フーコット昭島店」で東京・昭島市の再開発エリア「もくせいの杜」に3月15日、昨年8月にオープンした飯能店(埼玉県飯能市)に次ぐ2号店としてのオープンだ。フーコットは、ヤオコーが、2017年に買収したエイヴイをモデルに開発したディスカウント(DS)業態になる。
▼店舗裏手にマンションはあるが、徒歩や自転車圏内の住宅は少ないため、広域からの集客が欠かせない。売場面積3572㎡(1080坪)。広域商圏店舗に欠かせない駐車場台数は310台、うち、店舗正面の平面駐車場が148台、屋上駐車場が162台になっている。営業時間は10時~19時と閉店時間は早め、広い通路設定、シンプルな什器、投げ入れカゴを多用した陳列、単品量販、精肉・鮮魚のPC加工、支払いは現金のみなど、DSの基本を徹底した効率重視の店づくりがなされている。建物も入口の他、窓が数カ所あるだけのシンプルな構造で、ガラス張りで内部が見えるような店づくりはしていない。
▼売場レイアウトはSMの標準的なパターンに近く、壁面に沿って青果、鮮魚、精肉、洋日配と続き、最後に惣菜を配置。1号店の飯能店(埼玉県飯能市)は精肉に続いて惣菜を持ってきていたが、今回は主通路最後にコーナー展開している。青果売り場に壁面を設けず、バックヤードから直接品出しができるエイヴイの手法を導入、居抜き出店の飯能店と異なり、よりエイヴイモデルに忠実な店づくりを実現したと考えられる。独自の取り組みとして惣菜の充実がある。種類は限られるが、海鮮丼や握り・巻物などの寿司類から各種弁当、麺類、煮物、揚げ物、サラダ、ピザまで幅広い品揃えで、店内調理で提供している商品もある。
▼エイビイと異なるのは、店内製造の惣菜売場を設けている点と、酒売場の充実だが、基本はエイヴイモデルを再現する事にある。当然、エイヴイが直接出店したほうが良いはずとの声もある。「エイビイ海老名店」(神奈川県海老名市、5645㎡)などの新店もオープンしているのにと疑問を持つ人もいる。
SMにとってエリア特性は、顧客の生活、顧客層だけではない。雇用条件も違うし、何よりもサプライチェーンに関する体制(企業)も違うのだ。エリアマーケティングの重要性を含め、「商品バリューチェーンの強化」が、SMにとっての大きなポイントになるはずだ。
(2022・04・05)