オーガニック食品コーナーに注目を!

スーパーマーケット(SM)はこの先、どうあるべきか。それの方向性のひとつを示すであろうと期待をされている店舗が、ライフコーポレーションが開店した「セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店」(4月15日)だ。決算説明会の席で、岩崎社長は、これからの市場を展望して「Supermarket4.0というべき、新しいお店をつくりたい」と話されていた。残念だが、未だ店舗見学する機会が作れてない。

▼1953年、紀ノ国屋から始まったのを日本のスーパーマーケット1.0の世代、2000年に西友が日本初のネットスーパーを開業して2.0時代を迎え、オーガニック系食品スーパーが台頭したのを3.0の世代に突入したと岩崎社長は見ており、描こうとしているのは、その先のスーパーの姿になる。ここでの興味は、「Supermarket3.0」をオーガニック系食品スーパーの台頭と位置付けている点だ。確かに、ライフは「質の競争」を志向するため、ミレニアル世代、Z世代をはじめとする健康志向の強い消費者に訴求する「BIO-RAL(ビオラル)事業」に力を入れている。21年度の売上は40億円強(単独店舗+ライフ店舗でのコーナー展開)。早期の100億円達成をめざすとしている。

▼ライフのビオラル事業だが、「オーガニック」「ローカル」「ヘルシー」「サステナビリティ」の4つのコンセプトからなる事業で、商品の製造・販売を通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを目指している。「農薬や化学肥料、添加物などを極力使わない食品を企画・製造・販売することで、人々の健康な暮らしを支えるとともに、SDGsでめざす地球環境にやさしいサステナブルな世界を実現していきます」と謳っている。昨年度は近畿圏・首都圏にそれぞれ2号店目となる店舗を開店し、今年度も新店を計画しおり、ライフの店舗にもビオラルコーナーを導入することを計画している。ビオラルブランド商品の開発も進み、約200アイテムをラインナップしているのだ。

▼日本のオーガニック食品市場は約1900億円規模で、首都圏には約800億円の市場があるといわれている。イオン系列会社の「ビオセボン」も活発化している。コロナ特需の反動で、SMの既存店売上高が対前期比で苦戦した昨年度にあっても、ビオセボンの既存店売上高は伸び続けていたとの情報だ。将来的にビオセボンは、首都圏の10%にあたる80億円以上のシェア獲得をめざすという。

コロナ禍で関心が高まったオーガニックだが、消費行動が元に戻りつつあるなかでも、オーガニックというキーワードは世の中に定着していくと感じる。ただ、市場的にチャンスがあることはわかるのだが、どの企業でも出来るものではなく、相当の努力が必要になる。しかも、日本のオーガニック市場が、本場である欧米市場に追いつき、より発展していくには、日本人のニーズや事情にあった商品開発を実現できることがカギになるのかもしれない。

(2022・04・19)