競合であっても優れていれば・・・

今年のWalmartの株主総会は、6月1日に開催される予定と聞く。先日、ホームページに株主総会向けの「2022 Annual Report」が掲載された。残念ながら、英語力が無いのでGoogleの自動翻訳機能を使って読むしか方法が無いのだが拾い読みをして見た。わが人生の教訓にもなるのだが、「ファイナンス」「英語」「コンピュータ(含むデータ)活用」こそが、ビジネス人生で最も大事にするべきファンダメンタルズと思う。コーネル大学RMPジャパン修了生は若いのであるから、特に大事にして欲しい。

▼このレポートでの注目点は、設備投資の総額が131億ドルに達したことだ。前年から約28億ドル(前年27.7%)増やしている。しかも、海外事業部(Walmart International)を除いた米国内の設備投資費は前年の78.3億ドルから106.1億ドル(約1.3兆円)に上っている。35.5%も増えたことになる。伸長率で最も大きかったのは改装になるリモデル(Remodels)で前年から62.8%も増やし32.8億ドルとなった。金額ベースでは店舗改装等に12.7億ドルも増やしたことになる。次にEコマース等(eCommerce, technology, supply chain and other)で26.7%の増加となる72.0億ドルに上った。金額ベースで15.2億ドルも増やしたのだ。DXにいかに積極的に取り組んでいるのかがわかる。

▼反面、サムズクラブ事業を除く、主力のWalmart US事業で店舗数が3年連続して減少している。内容は、スーパーセンターは3,573店舗(3店舗増)、ディスカウントストアは370店(4店舗減)となっている。興味深いのはネイバーフッドマーケットだ。ネイバーフッドマーケットは前年と同じ799店舗だが、細かく見るとネイバーフッドマーケット683店、コンビニエンスストアが8店舗、小型フォーマットが105店舗、そしてピックアップ・ロケーションが3ヶ所とあり、合わせると799店になるのだ。実質的に売り場を減らしているのだが、直近の既存店・売上高前年比は6.4%増となり、連続して成長しているのだ。

▼そして、驚きはダグ・マクミランCEOのメッセージ(Message)にある。アマゾン創業者のジェフ・ベゾスのエピソードとしてよく語られる「フライホイール(Flywheel)」効果をウォルマートの成長戦略に据えているからだ。店舗販売にネットスーパー等のシームレスなサービスに低価格商品で顧客との関係を深めながら関係を拡大し、さらに客数を増やしながらフライホイール効果を高めて成長するとしてる。確か、マクミラン氏がCEOに就任した時、幹部役員全員に『ジェフ・ベゾス 果てなき野望―アマゾンを創った無敵の奇才経営者』(ブラッド・ストーン著)を配ったとの情報があったはずだ。競合であっても優れているとわかればすぐに学ぼうとするフットワークの軽さがあるということになるのかも知れない。

(2022・04・28)