3月度の小売業界の動向だが、コロナ禍の第6波の影響が縮小し始め、全体として改善している。感染者数は下げ止まっていたが、まん延防止等重点措置が順次解除され人流は回復している。ただ、客数に関しては、百貨店以外では大きな改善はなかった。
▼業態別には、百貨店は都心大型店の改善度合いが大きく、郊外店や地方店は前年割れが未だ多い。高級ブランド品などの高額品が引き続き好調であり、富裕層の購買意欲が高い。GMSは、大型店を中心に小幅改善したが、衣料品やテナントの回復感は強くない。コンビニエンスストアは、コロナ禍の縮小に加え販促強化や新商品・商品リニューアルが寄与し客数が戻り始めた。値上は、商品のリニューアルを伴うものが主体で売上は落ちていないという。SM各社は2月、3月と横ばい。GMS、SMともに食料品の特需消費は落ち着いてきたが売上は堅調が続いている。特に惣菜、付加価値型の商品の動きが良い。値上げの動きは、商品によって差はあるが、売上への影響は全体でみると未だ大きくない。
専門店は衣料品と家電が改善。ホームセンターがやや改善、ドラッグストアは、企業間での差があるものの概ね順調に推移した。前年に比べて、花粉症関連等の季節商品が苦戦した。食品は順調だったが、化粧品は都市部の店舗などで回復が遅れている。調剤は引き続き良好。
外食は小幅改善。ただし、解除以降、急激に入客数が改善したという状況にはなっていない。
▼数値の羅列になるが、SM業界、3月度の各企業の業績は次の通りである。
◎アークス:既存店2.5%(客数▲1.3%・客単価3.9%)、全店2.5% ◎アクシアルリテイリング:既存店2.3%(客数▲0.8%・客単価3.0%)、全店2.8% ◎いなげや:既存店1.1%(客数0.3%・客単価0.8%)、全店1.2% ◎オークワ:既存店 ▲1.0%(客数▲3.3%・客単価2.4%)、全店▲3.5% ◎サンエー:既存店2.5%、全店2.5% ◎ダイイチ:既存店6.3%、全店10.5% ◎バローHD:既存店2.15%(客数▲0.9%・客単価3.0%)、全店2.6% ◎ハローズ:既存店4.8%(客数1.2%・客単価3.5%)、全店12.7% ◎ベルク:既存店2.1%(客数1.1%・客単価1.0%)、全店4.8% ◎マックスバリュ東海:既存店1.1%(客数▲0.5%・客単価1.6%)、全店1.8% ◎マックスバリュ西日本:既存店▲0.9%(客数▲3.4%・客単価0.3%)、全店0.8% ◎ヤオコー:既存店0.8%(客数1.3%・客単価▲0.5%)、全店6.7% ◎ヤマザワ:既存店2.7%(客数▲0.8%・客単価3.7%)、全店2.3% ◎ユニバース:既存店 2.1%、全店 2.1% ◎U.S.M.H:既存店▲1.3%、全店▲0.1% ・マルエツ:既存店▲2.2%(客数▲1.8%・客単価▲0.4%)、全店▲1.0% ・カスミ:既存店▲0.2%、全店1.5% ・マックスバリュ関東:既存店▲1.3%、全店▲3.5% ◎ヨークベニマル:既存店▲0.1%(客数▲2.2%・客単価2.1%)、全店0.7% ◎ライフコーポレーション:既存店2.7%(客数0.1%・客単価2.7%)、全店3.7% ◎リテールパートナーズ:既存店0.7%(客数▲1.8%・客単価2.6%)、全店2.9%
(2020・05・02)