「必要か」、「不要か」を選択して生活を楽しむ!

スーパーマーケット企業の3月決算結果がゴールデンウィーク明けの明日から出揃うはずだ。コロナ禍2年間の数値変化は気になる。各社の決算報告書を見るのを楽しみにしておきたい。これとは別に、スーパーマーケットの考えるべき基本問題は「物価高騰」対策になるのだろう。母の日対策のチラシも価格強調のものが増えている。ポイント増のサービスも目白押しだ。「販促としての安売り」は、荒利益額への影響、作業量の増加などを含めて、相対的なコスト増に繋がる。そして、このコスト増を埋め合わせるのにコストカット(コントロール)策が展開されることになる。しかも、このコストカットが目的かしてしまうのだ。

▼単に「販促としての安売り」を増やすことは「愚策」と分かっているのだが、自社だけは勝ち残れると思う結果なのかもしれない。安売りは、競合相手も同じ手を打つので、効果が相殺されるだけでなく、お客さまもそれに馴れる。結果、さらに加速化し、「コスト増」と伴う「利益減少」をもたらす。そこで、先にどちらが倒れるかの消耗戦が始まり持久戦になる。そして、この戦いは勝っても無事ではいられない。

▼物価が高騰しても、「自分にとっての生活の楽しみ」を体験したお客さまは、楽しみを捨ててまで「耐乏生活」をしようと思っているわけではないはずだ。安くなったものだけを購入して、これまでの「生活」を維持しようとしているのではなく、「生活から省くことが出来るもの」と「省くことが出来ないもの」を区別することで、支出総額をコントロールしようとしているはずなのだ。企業のコストカットも、同じように「必要なコスト」と「不要なコスト」を判別して実行するべきものと思う。

▼TVニュースでも、価格が高騰していること、激安の店舗紹介ばかりを鬼の首を取ったように報道する。ニュースでは良いとしても、小売業の店舗運営で本当に重要なのは、全国的に受けるような情報ではなく、わが店舗のお客さま情報なのだ。企業全体で見て言えば、「どこの店舗で・何が・何時・幾つ・何故・誰が」買ったかの具体的データが必要になっているのだ。これら具体的なデータを積み重ね、それでその店舗の明日を予測する訓練を繰り返すことで、わが店舗のお客さまがどんな選択で支出総額を減らそうとしているかを知することに繋げる必要がある。究極は、「カスタマーを増やし続けること」ことになるのだが、それには、個店における「商品経営」(マネジメント)技術しかないはずだ。AI活用論もあるが、最後はそこで働く人が判断するしかない。もちろん、個店が的確な予測しても、それに応える商品部がいなければならないことは言うまでもないのだが、マーチャンダイジングに繋がるエリアマーケティング能力を高めたい。

(2022・05・08)