「SPAモデル」による独自商品への傾向・・

スーパーマーケット(SM)やドラッグストアの店舗見学をして楽しいのは、多くの企業がプライベートブランド(PB)商品の開発に力を入れている点だ。チェーンストア業態の小売業にとって、PB商品は珍しいものではなくなった。それは、大手企業だけでなく、中小チェーンもPB商品を開発しており、自社でのPBを持たなくても、共同仕入れ機構の共通PBを導入しているケースがほとんどだ。ドラッグストアでも、低価格な食品PBをSM顔負けのラインアップで展開すらある。

▼しかもナショナルブランド(NB)の廉価版のような旧来型のPBでは差別化が出来にくくなるので、「SPA(製造小売)」モデルによる独自商品への傾向が高まっている。「SPA」は、アパレル業界の用語で、衣料専門店「ギャップ」(GAP)の会長が、自社の業態を「Speciality store retailer of Privatelabel Apparel」と言い表したことに由来している。日本では、「ユニクロ」「ニトリ」などを代表とする「企画から製造、販売までを垂直統合させることでSCM(サプライチェーンマネジメント)のムダを省き、消費者ニーズに迅速に対応できるビジネスモデル」と言うことになる。

▼コーネル大学RMPジャパンの講義で、上原先生が「これからの小売業の強さは、商品の企画から製造、販売までをマネジメント出来るか否かだ」と話されたことがあるが、「神戸物産」や「セコマ」のように製造機能を持つ企業は少ないが、自社で商品スペックをコントロールして、他社にない独自性ある商品の開発を進めている食品小売は本当に増えている。その理由は、独自性を発揮しながら、高い収益性も期待できることにあるからだ。デメリットは、企業規模とそれに伴う在庫リスクにあるが、どこの企業も、独自商品の開発は重要課題の1つとなっている。「ユニクロ」でさえ200店舗を超えたあたりから利益貢献が顕著になったと記憶している。

▼われわれSMの商品開発におけるテーマは、「ローカライズ」を重視した商品開発にもある。地域によって食習慣が異なる日本の食文化は多様で、地域の小売業がそのニーズを拾い上げるという方向性だ。その上で、開発商品の「価値」をどう伝えることが出来るかになる。POPでの商品説明や陳列、パッケージデザイン、イベント開催など、「価値」訴求のための情報発信に力を入れることだ。「ヤオコー」では、3月にPBのお試しフェアを1ヶ月近く続けていた。

小売業の現場では、「商品開発力」だけでなく、「販売力」の差が大きく業績に影響する。惣菜部門は、SPA部門になるが、これに「製造能力」「品質保持能力」が加わる。SCMマネジメント力を高めるための組織力を構築し、維持できるかこそがSPAの肝になると考える。

(2020・05・24)