共通化し始めたSM各社の商品政策・・・

なんとなくの感じなのだが、店舗見学をするとお客の数が減っているような気がする。見学した曜日、時間でそう感じているのかもしれないが、物価上昇の影響があるのかもしれないと思ってしまう。食品や日用品は値上げの動きが強まっているものの、売上への影響は全体で大きくないとの意見をよく聞くが、気になるところだ。

▼米国小売業は、営業収益は維持されているが利益面での影響は大きいようだ。ウォルマートもターゲットも、四半期決算の内容は厳しい状況が伝えられている。国内の小売業各社の状況を見ても、光熱費の高騰に関しての心配を多くの企業が決算発表の席で話していた。電気代は、年間3割以上の増加を覚悟するとの企業もあった。ロシアと欧米の関係が硬直してしまうと、エネルギーコスト問題は簡単ではない。しかも、再生可能エネルギーへのシフト問題もあり、数十年後のカーボンニュートラルを実現するには、エネルギーコストに関する対策はおおきな課題になる。

▼原材料のインフレを受けて、価格は上げざるをえないのだが、競合店と顧客を奪い合っているので、可能な限り売価は抑えるしかない。NB商品のようにどこででも売られている商品は、価格で差をつけるしかない。一斉に値上げしてほしいメーカーと、価格上昇を抑えたい小売との断層が出来ないような知恵が必要な時でもある。ワインをはじめ直輸入品への負担増も直接的になって来ている。小麦の調達コストは更に上がりそうだ。魚介類の調達懸念も高くなって来ている。海産物の輸入への影響は長引くかもしれない。

▼光熱費、調達コストが上がるのに価格転嫁は最小限にしたい環境なので、各社の商品施策は共通して来ている。いかに独自性(オリジナリティ)を高めるかだ。

① PB商品を含めた商品開発、商品開拓でその比率を高める。② 惣菜部門の構成比を高める。そして、③ 生鮮部門での加工度を高め、付加価値をつけることに集約されそうだ。各社の施策は同じになりそうなので、商品の質の違いが差を生むことになるだろう。価格対策でやれることよりも、質の追求でやれることの方が、選択肢は多いはずだ。

業界誌のニュース欄に、ヨークベニマルの大高会長のコメントが載っていた。「安さを追いかけても限度がある。しかしお客さまの欲求は無限だ。だからお客さまが求めるものを追求していく」というものだった。しかも、目下の原料高騰に対処するだけではなく、将来の経費増を見越しての企業組織の再構築を含めて、必要な価格対応を進めるとのニュアンスでもあった。今期からデリカの子会社ライフフーズを統合し新体制に下のもその表れとも思える。

(2022・05・29)