米国の小売業もプライベートブランド(PB商品)の拡大が顕著になっている。コロナ渦以降、Eコマースの売上急増しており、その店でしか買えない商品を持つことが競争上の優位を維持することになるからだ。Trader Joe’sやCostcoのPB商品戦略は有名であるが、ターゲットでも年間20億ドル以上を稼ぎ出すPB商品をここ数年で発売している。
▼Amazonはどうなのだろう。自社ブランドについて分かり難くしている。しかし、実際にはAmazonは広く自社ブランドを持っているのだ。家電製品の「Amazon Kindle」、「Amazon Echo」は、よく知られているが、最初のPBは2005年のリネン類の「Pinzon」からだと思われる。その後、2009年に「Amazon Basics」を発表、パソコン用品、オフィス用品などを中心に収納用品やキッチン用品、ペット用品、リネン、パティオまで拡大した。アパレルのPBも発売している。食品のPBも持っており、コーヒー等の「Happy Belly」やベビーフードの「Mama Bear」、他に「Wickedly Prime」や「Presto!」などがある。2019年では、45の自社ブランドを持ち、15,800アイテムのPB商品があった。最近は88ブランドにも上っているらしい。
▼なのに、意識的にPB戦略について口を閉ざすことが増えている。Amazonが出店者のデータをPB商品の開発に活用するという噂が以前から指摘されていたからだ。販売業者がネット市場で販売することができるマーケットプレイスを持っているので、そこで最も売れている商品を分析し、自社商品として作り、より安い価格で売れば確実に売上が上がるからだ。また、開発商品を検索結果ページのトップに配置すれば競合品を凌ぐことになる。実際、関係者の証言には、「マーケットプレイスで上での人気商品からコピーをつくるPB戦略の存在もある」というものがあったという。ライフコーポレーション、バローがAmazon Freshでネットスーパーを開始した際、このことを心配する声が数多く上がった。
▼Amazonは、リアル店舗の「アマゾン・フレッシュ」を拡大することは明らかであり、PB商品を積極的に集客ツールとして使い始めている。これまではWhole Foods MarketのPB商品を訴求していたが、Amazonの新PB「Aplenty」を目玉にする機会が急増しているという。店舗が増えれば増えるほど、PB商品を広報して、販売につながるようにしなければならなくなる。正々堂々と独自ブランドで勝負することが増えるはずだ。開発商品にも優位性が必要となってくる。
リアル店舗では、検索結果ページにこっそり表示するような姑息なこと(無いと信じているが)は出来ないはずだ。
(2022・05・30)