米国の調査会社コアサイトリサーチは、「US Online Grocery Survey 2022」を発表した。これによると、過去1年間でネットスーパーを利用した人は54.3%(21年調査時59.0%)と減少した。また今後1年間でネットスーパーを利用する予定と回答した人も46.9%で、前年の49.5%からも落ちている。ただ、利用したいとした人が49.5%だった昨年の調査結果に対して、実際に利用した人は54.3%になっていることを見ると、ネットスーパーがいまだ人気であることも事実である。
▼ネットスーパーを利用しない、全くなし/ほぼ全くなしとの回答は、2020年調査時は63.1%もいたが、2021年には55.3%に減少し、2022年には全くなし(16.7%)/ほぼ全くなし(32.2%)合わせて48.9%と半数を切っている。特にカーブサイド・ピックアップは増加傾向で43%(2021年)の利用から48.2%に利用が増えている。一方、宅配サービスの利用は6.5%減少している。購入先店舗も1.8店(2019年)だったが、今回の調査では2.4店となっている。
▼興味深いのは調査対象者の利用先(複数回答)である。1位はアマゾンの51.6%、2位がウォルマートの50.5%と、この2社が3位以下を圧倒している。3位はターゲット25.5%、4位サムズクラブで16.1%、5位コストコで15.7%、6位クローガーで13.6%、7位ホールフーズ・マーケットの13.1%、8位アルディで8.4%、9位パブリクスの7.1%、10位アルバートソンズ・セーフウェイで7%の順位だった。
アマゾンのネットスーパーのシェアが落ちているが、ウォルマートは横ばい、アルバートソンズ(2.7ポイント)やターゲット(2.6ポイント)、コストコ(0.5ポイント)とそれぞれ増加傾向を示しているとのコメントがあった。大手チェーンストアがリアル店舗を使ってのネットスーパー展開が影響し、アマゾン・プライム会員のアマゾンネットスーパーの利用が大幅に落ちているらしい。その中で、ホールフーズでのネットスーパー利用が、18年の2.6%から22年には14.5%と増加しているのも特徴的な傾向になっていとある。
▼リアル店舗をベースにしながらネットスーパーを展開する戦略は、店とネットをクロスさせて買い物するオムニチャネル利用客にとっては便利なのだろう。アマゾンは、これらオムニチャネル利用客を奪回するため、独自に開発した「アマゾン・フレッシュ」の出店を急ぐ理由もここにあるのかも知れない。
ネットスーパーを利用する多くの買い物客には、リアル店舗は必要であることを証明しているように思える米国小売業の傾向だ。
(2022・06・07)