新しい局面を迎えるスーパーマーケット・・・

コロナ禍の2年が経過した。22年2・3月期決算の報告書が出揃ったのだが、これまでは、業界誌が決算特集を組んでいたので比較的容易に業態全体の状況把握をすることが出来た。しかし、(株)商業界の倒産に伴い、情報が限定的になり、全体把握するまでの時間が必要になってしまった。コロナ特需効果が一巡したが、緊急事態宣言、移動制限や飲食店を中心に営業制限など、経済活動の抑制と緩和の繰り返しがあったので、肌感覚としては、総じて内食需要は堅調と感じていた。

▼売れる商材には変化があり、家庭内調理への飽きがあったのだろう。不振だった惣菜部門が販売方法の切り替えなどから売上増となり、全体を牽引している。また、原材料の値上げに伴う売価変動が節約志向を強くしたことで、価格訴求の強化やPB商品を訴求する販促も目立った。これらへの対応力が決算にも影響を与えている。

▼21年2・3月期決算では、調査した31社中29社が増収増益、1社が増収減益、1社が減収増益であった。22年度は、把握できた26社中、増収増益企業は8社()である。期の途中でのM&A実施で昨年比が公表されなくなった企業などもあり、同じ企業での時系列対比でないが大局的に見て、前年に比べ対照的だ。ただし、20年度が異常値と考えれば、過去2番目の最高益となっている企業が多い。減益も水道光熱費、設備費、特別手当の支給による人件費増などによるものが多いようだ。

▼7000億円を突破した企業が4社。ライフ、西友、バローホールディングス、ユナイテッドスーパーマーケットホールディングスである。5000億円代のチェーンが4社であった。業態分類でSM業態とするか否かは別として、2000億円以上の売上を持つ企業は23社になっている。

この2年、内食需要の拡大は、外食需要を取り込んだことにもある。今後、外食需要が回復する中での動向に注目しなくてはならない。外食の顧客を自社顧客として取り込むことが、少子高齢化を生き抜く上で必要になってくる。4月、5月と前年割れとなった企業が増えている。

外食業界は、コロナ禍の消費行動に対応した業態転換、フォーマット転換を実施して新しい消費の形に合わせ顧客満足度を高めている。われわれSMも、コーネル大学RMPジャパンで米国を訪問した際に体験した「グロサラント」機能の更なる強化が必要になるのだろうか? それとも、ドラッグストアとのコンビネーション機能、ネットスーパー付加のオムニチャネル機能が必要なのだろうか? 新しいステージを目指す必要が明確になって来た。

(2022・06・16)