米国、人口密度の高い街でのドローン配送・・・

米国Amazonは、ドローンによる空輸宅配のテストを今年後半にもカリフォルニア州ロックフォード地区で行うことを発表した。2013年に創業者のジェフ・ベゾスが「Amazon Prime Air」を公表してから10年近くになる。

▼ロックフォード地区とは、州都のサクラメントからは南東に40マイル(64㎞)の田舎町で、サンフランシスコから車では2時間弱かかる地域になる。地区のほとんどが農地で、人口も3,600人程度に過ぎないとある。使用する最新型ドローン「MK27-2」は、最大速度が時速50マイル(時速80㎞)に達し、地上から最大400フィート(約120m)を飛行する。目的地まで来ると6フィート(1.8m)まで降下し、パッケージをリリースして飛び去るとある。6フィートから注文品を落とすため、梱包も特別仕様のようだ。

▼ただ、連邦航空局の資料から過去13ヶ月間にAmazonのドローンが少なくとも8回も墜落していたとビジネスインサイダー誌が報じていた。そのうち1回は、テスト飛行のMK27型ドローンがコントロール不能に陥り高度約50mから落下し、その衝撃でリチウム電池から発火、数千坪の畑を焼いたという。別のレポートでもプロペラに不具合が生じ約40㎏のドローンが落下したともある。Wing社(Googleの親会社アルファベットの関連企業)やWalmartは既にドローン宅配を開始しているので、キャッチアップできるかに注目が集まっているという。

▼Wing社は19年10月に、バージニア州クリスチャンズバーグ地区で世界初となる空輸宅配を成功させた。その後も実績を積み、テキサス州ダラス郊外の住宅地でドローンの商用宅配を正式に開始している。ダラス市内から北に約50㎞のところにあるフリスコ市とリトル・エルム地区で、このフリスコ市は専門職階層のベッドタウンとして急成長し約20万人が住んでいる。極めて人口密度の高い街での実績を積み上げているのだ。

Walmartは、ドローン宅配を年末までに34店舗に拡大することを発表。「Delivery on the fly」は、アーカンソー州からアリゾナ州やフロリダ州、テキサス州、ユタ州、バージニア州にある店舗に拡大される。自律飛行機によるオンデマンド宅配もアーカンソー州ベントンビル郊外で実験をしている。

出遅れたAmazonのドローンでの配送は、都市部でのサービスには相当の時間がかかりそうだ。日本では、国土の広さや法規制などから、当面考える必要はないのだが、動きだけはキャッチしておきたい。

(2022・06・17)