ローソンは、デリバリー事業者との連携と、強みとする店内厨房の機能を生かし、店内調理のデリバリー専用メニューを宅配する「ゴーストレストラン」事業にも参入、都内の1店で実験したところ一定の支持が得られたことから26年2月期には全国1000店まで拡大する方針を打ち出していると報じられている。このゴーストレストランだが、概念は様々のようだ。名称も「ゴーストレストラン」を始め「クラウドキッチン」「クラウドレストラン」「バーチャルレストラン」等とも呼ばれている。
▼イートインスペースを持たずデリバリーやテイクアウトに特化したシェア型厨房を「ゴースト・キッチン」と概念規定して様々な言い方をしているのだろうか。ひとつのキッチンでピザや寿司、中華にサンドイッチなど複数のレストラン企業のメニューを調理するのが特徴となる。レストラン企業にとっては新店舗を設けることなく、認知度を拡大し営業範囲を広げることができる。そこで勤務する者には接客を気にせず、調理に集中できる。米国では、コロナ禍で非接触の出前やツーゴー需要が急増しており、ゴースト・キッチンが飲食業界のトレンドとなっているようだ。
▼Walmartでも、昨年9月、ニューヨーク州ロチェスターにあるスーパーセンターで初のゴースト・キッチンを開店させている。今回、キサス州ダラス郊外のプレイノ地区にあるスーパーセンターで、地元のレストラン経営者とGhost Kitchen Brands社の提携で出店するというレポートが届いた。
ここでは、ホットサンドイッチの「Quiznos」、グルメバーガーの「Umami Burger」、サラダの「Saladworks」、「The Cheesecake Factory Bakery」、アイスクリームの「Ben & Jerry’s」など30件近くのレストラン企業のメニューが注文可能となる予定とのことである。注文は専用のモバイルアプリや店舗に備えられたタブレット端末から注文ができ、ウーバーイーツなどの宅配も可能だ。
▼スーパーマーケットのクローガーも店内にゴースト・キッチンを誘致している。クローガーと提携しているのはスタートアップ「Kitchen United」で、今年1月、ロサンゼルス近郊のラルフスに1ヶ所目をオープンし、2ヶ所目もテキサス州ヒューストンに2月にオープンしている。
この、ゴースト・キッチンだが、家族で違ったものをオーダーできるなどメリットは大きいものの逆風が吹き始めている。40年ぶりのインフレが原材料費等を高騰させており、これまでのように低リスクを謳い文句にすぐに出店できなくなっているのだ。チェーン店内への出店に遅れがでており、開店までの時間も長くなっている。足元では慎重にトレンドを見極める必要が出て来ているようだ。
(2022・06・26)