外食大手の5月度の動向・・・

7月に入った。時間の経過は早い、しかもこの夏はこれまでとは違う夏だ。これまでの「生活に関するカレンダー」を見ると、「梅雨は中旬まで続き、梅雨明けに向けて気温が上昇していく。熱中症に注意が必要な時期・・・・」とあるが、今年は6月中に梅雨は明け、既に熱中症で救急搬送される人は増えている。その上、新型コロナ感染者は増加傾向にあり、東京都では警戒度を1ランク上げている。未体験の環境の中で売場展開をしなければならない。旬の食材もこれまでとは違った売り方が必要になるはずだ。

▼外食大手33社の5月の既存店売上高が『日経MJ』誌で発表されていた。これによると29社が前年同月比で増収となった。行動制限が緩和され、居酒屋やファミリーレストランを中心に客足が戻ってきている。反対に持ち帰り需要を取り込んでいたファストフード各社は大幅減収となっているという。前年、時短営業を実施していた店舗がまん延防止等重点措置が解除され、通常営業に戻ったことなどから、店内飲食が中心の業態は客数を大きく回復した。ゴールデンウィークの外食需要を上手く取り込めたのだ。酒類の提供制限が緩和されるに伴い、客単価も上がって居酒屋、焼き肉、すしも良いようだ。ファミリーレストランも5社すべての既存店売上高がプラスとなった。すかいらーく22%増、サイゼリヤ38.8%増、ロイヤルホスト30.7%増、セブン&アイ・フードシステムズ、27.5%増、ジョイフル49.0%増だった。

▼一方、「巣ごもり」生活下のテイクアウト需要を取り込んで成長してきたファストフードや中食・宅配では売り上げが落ちる企業も出ている。日本ケンタッキー・フライド・チキンの既存店売上高は15.8%減だった。2桁の減収幅はコロナ感染が深刻化した20年1月以降では最大だ。客数も10.2%減った。モスフードサービスの既存店売上高も6.0%減と3カ月ぶりのマイナスとなった。テイクアウトで家族分の食事をまとめ買いする客が減ったという。ただ、日本マクドナルドは、5.1%増と変わらずの強さを見せている。このほか弁当関連ではオリジン東秀とプレナスの「ほっともっと」がそれぞれ8.8%減、4.1%減となった。

▼スーパーマーケットに直接影響のある主要外食の動きは気になる。足元では、原材料やエネルギーコストの上昇を受け値上げの動きを強めている。原材料などコスト増への対応は外食全体の課題となっている。メニューの値上げを打ち出す企業は少なくないが、「巣ごもり」特需が陰りをみせ、逆風を感じつつあるファストフードなどにとっては、客離れに直結するリスク要因になるだろう。

それにしても、「持ち帰りは不振」となり始めているという。今後の動きを掴むことはSM業界にとっても大事なことになりそうだ。

(2022・07・02)