米国小売業、インフレの影響が・・・

昨日は、米国流通業視察に関する話題を記したが、米国の消費者物価指数がとんでもない事になっているようだ。13日に発表された6月の消費者物価指数は前年同月比で9.1%の上昇となり1981年11月以来の大幅な伸びとなった。8.8%の市場予想を上回る結果であったと流通コンサルタント 後藤文俊氏がレポートしている。

▼ガソリン価格は59.9%(対前年同月比)も上昇し、食品全体も10.4%の増加、家庭での食事ですら12.2%の増加となって暮らしを圧迫している。例えば卵は33.1%上昇、バターは21.3%、牛乳は16.4%、鶏肉は18.6%、コーヒーは15.8%と異常な増加。ムーディーズの調査によると、前年に比較して1ヶ月あたり平均で1世帯493ドル(約69,000円)も多く生活費を支払っているのだ。記録的なインフレにより米国民67%が貯金を切り崩しているとフォーブス誌は伝えている。

▼このインフレは、人々のライフスタイルにも影響を及ぼしている。実店舗の客足をモニタリングする調査会社によると、スターバックスやダンキンドーナツでコーヒーを購入する回数すら減少しているとある。スターバックスでは6月は、客数7.8%減(対前年同月比)であり、ダンキンドーナツも4.1%減となっている。

一方、新学期商戦では、大幅な売上増を見込んでおり、昨年比5.8%増となる344億ドル(約4.8兆円)と過去最高を記録するとの見通しを立てている。インフレ効果と対面形式での授業を復活させていることも要因となっている。

▼スーパーマーケット(SM)最大手のKrogerは、インフレ対策として、サブスクの「Kroger Boost」を全米展開にすることを発表した。これは、年会費59ドルと99ドルのメンバーシップ・プログラムで、35ドル以上の買い物で59ドル会員は24時間以内の宅配サービスの手数料が無料となり、99ドル会員は最短2時間の宅配手数料が無料となる。このプログラム、Krogerや傘下のSMに併設されているガソリンスタンド(約1,600ヶ所)でのディスカウント特典が付き、ミールキットのホームシェフやクローガーPBなど100ドル相当の商品が入会特典となってついている。Krogerによると宅配とガソリンで年間1,000ドルを節約できるとしている。

各社、サブスクを中心にした成長戦略を打ち出しており、インフレに乗じて一人でも多くの加入者を増やしたい模様だ。

日本国内のSMのこれからのインフレ対策はどのように展開されるのだろうか?

(2020・07・16)