景気局面の判断や、景気予測と景気の転換点の判定に利用される動向指数のひとつに、DI(Diffusion Index)がある。業況感や、景況感といった明確に数値化しにくい対象を、比率化することで景況の先行きを判定するものだ。指標となる「景況感が良くなった」という意見から、「景況感が悪くなった」とする意見を差し引いたものに100%をかけて算定。50%を景気判断の分かれ目として、0%寄りでは「先行きが悪い」、100%寄りであれば「先行きが良い」と判断されるものだ。
▼7月21日発表の「スーパーマーケット(SM)販売統計調査」によると、『景況感調査は、すべての DI が前月より悪化しており、なかでも中核店舗景気判断DIは、現状判断DI、見通し判断DIともに2011年の調査開始以来最低値を記録した。前年からの消費行動の変化による反動が大きく、来客数や販売点数の減少がみられた。また相次ぐ値上げや生鮮価格の高騰による購買行動の変化を指摘するコメントが多くみられた』とある。
▼詳細を見ると、6月のSM中核店舗における「景気判断DI」は、現状判断が、前月から-2.9の35.7、見通し判断は前月から-2.0の32.6 となり、どちらも前月から悪化している。
「経営動向調査」では、「売上高DI」、「収益DI」ともに前月同様に二桁マイナスとなっている。内食需要の落ち着きや価格上昇等による販売点数の減少を受けたものである、一方、「生鮮品仕入原価DI」、原料価格等の高騰による「食品仕入原価DI」は引き続き高止まりしており、「販売価格DI」も高水準となっている。行動制限の緩和による人流変化等により「来客数DI」は低迷が続いている。
「カテゴリー動向調査」では、惣菜を除くすべてのカテゴリーDIで大幅なマイナスとなっており、特にこれまで巣ごもり需要を支えていたカテゴリーで影響が大きかった。また気温の変化が大きく、夏物商材の販売は大きな影響を受けた。一方で、猛暑で調理を敬遠する傾向が追い風となった面もあり、「惣菜DI」は唯一プラスを記録している。
▼『7月に入り感染が再拡大していることで、再び内食需要が高まる可能性もあるが、行政による行動制限は現状では予定されておらず、慎重に消費者動向を見守る必要がある。物価高騰の影響は国内経済全体に波及しつつあり、家計の節約志向が食品以外の消費にも広がることで、SMでの消費行動に与える影響がプラスに作用する可能性もある。引き続き、地域や世代、所得による行動変化のばらつきが大きい状況が続くと予想され、店舗単位での顧客動向を慎重に見極める必要があるだろう』と結んであった。
一層、気を引き締める必要がありそうだ。
(2022・07・23)