「Future Store Now 2023」オープンセミナー開催・・・

昨日8月5日、「Future Store Now 2023」のオープンセミナーが開催され、それに参加してきた。全国スーパーマーケット協会主催のこの研究会は2015年から続いている。切っ掛けは、2010年にスーパーマーケットの団体(協会)間で、「近未来のスーパーマーケットの在り方」を提示することを目的とした共同研究会の発足にある。その時の研究成果として『シナリオ2020』がある。

▼この共同研究会の想定年度、2020年は過ぎてしまったが、改めて当時の報告書を見ると現実の業界のいまと大きな違いはなかった。報告書の中で、業界対応策を表記してあるが次の7項目である。

  • 人口構造の変化、人々の暮らしの変化を十分捉え、出店立地、店作り、商品、その提供の仕方など、すべての面で新たな時代の広範な消費者ニーズに応え続けること。
  • 新たな情報通信技術を積極的に取り入れることで、消費者とのコミュニケーション能力を高めるとともに、オペレーションの効率化、コスト削減を進めること。
  • 新たな環境技術を導入し、環境負荷削減とコスト削減の同時実現を図ること。
  • EDIや物流モジュール等については業界標準を積極的に採用するとともに、合理的な取引をすることにより、サプライチェーンのコストを下げ、その結果として商品原価と販売費を引き下げ、また生産性を高めること。
  • 高齢化などに伴って発生する新たな事業機会を適切に捉え、収益的な新事業を堅実に展開すること。
  • 以上を通じて企業としての競争力、収益性、生産性を高めることで、従業員の処遇レベルを引き上げ、働きやすく、また働きがいのある企業になること。
  • 最後になるが、災害リスクへの対応力も高めること。

▼最後の項目は、発刊直前に東日本大震災が起こり、多大な被害を受けたことから急遽付け加えたものである。これらの課題解決にどれだけ真剣に取組んだかが問われることになるのだが、課題解決に影響があるのは、「マーケットの「量的」・「質的」変化の動向」、「法令の新設・改廃への対応」、「情報通信技術進化への対応」である。特に足元では、「情報通信技術進化」とそれに基づく「データ活用社会の到来」こそは、小売業にとっても重要なテーマになっている。

▼近未来の姿を想像し、足元を見直すと対応の遅れが見え始めている。各社共、勉強熱心に取組んでいるのだが、どうも競争相手の摸倣追随的な癖が邪魔をしているように思えてならない。業界動向や他社を見て学ぶという習慣が、自ら考える能力・慣習を奪ってしまったようだ。結果、摸倣するという悪循環に陥っているのかも知れない。

「Future Store Now 2023」のオープンセミナーでは、国内外の革新的な小売企業の事例がいくつも報告された。これらを「自ら考えるヒント」にできるかが大事な時にあることを痛感した。

(2022・08・06)