SDGs経営と業績との間には有意な相関関係が・・・

業界誌の『Diamond Chain Store』(9月1日号)の特集は「サステナブル リテイリング」である。「SDGs」や「サステナビリティ」といった活動が経営戦略上の重要施策として注目を集め始めているが、世界的なインフレに円安、燃料費高騰に伴う電気代や商品原価の上昇、価格競争の激化、消費者の価値観の変化など、外部環境の急激な変化が要因となっているのだろう。小売業も同様なのだが、どのような活動をどう展開していくべきか迷っている企業が多いようだ。そこで先進的な事例を紹介するのがこの特集の主旨になっている。

▼コーネル大学RMPジャパンの修了生、埴渕恒平氏(第8期)が社長を務め株式会社 キョーエイの事例が掲載されている。徳島県を中心に展開する総合小売業(スーパーマーケット・専門店を経営する徳島県最大の流通グループ)で、本部を徳島市川内町に置き、徳島県、香川県で42店舗(スーパーマーケット30店舗・専門店12店舗)を展開している。社是に「市民生活を守る砦となれ」を掲げ、地域密着型の店舗運営で高い支持を獲得してきた。創業者の故埴渕一氏は「住めば都の精神」という言葉をよく口にしていたと言う。キョーエイがある地域に住んだ人が、都だと感じるような店づくりを行うという意味だそうだ。

▼埴渕恒平氏は、昨年5月、3代目社長に就任したのだが、「当社の経営トップは代々、地域との関係を重視しており、私もその伝統を受け継いでいる。つまり自社の売上、利益だけを考えるのではなく、地域、そして居住するお客さまが、よりよい状態になってはじめて、長く商売を続けられると考えている」と記事の中でインタビューに答えている。

具体的な施策として、地産地消商品の充実や移動スーパーなどがある。特に有名なのが移動スーパー事業になる。徳島県の高齢化率は約33.1%と全国平均より約5ポイント高く、同時に人口も急速に減少中だ。マーケットの縮小に伴い、SMや食料品店が閉店し日々の食料品の買物さえ困難な人が増えている。13年に買物難民対策として移動スーパー「とくし丸」に参画し、現在、徳島県内25台、香川県内3台体制で行っている。他にも、地場商品を集約した「すきとく市」の開催、店頭で資源ごみを収集する「はっぴいエコプラザ」を実施するなど、生産者やNPO法人と連携して地域でも存在感を発揮する活動に発展させている。

▼コーネル大学RMPジャパン11期の講義の時、「サステナブルな施策は企業の成長につながるといえるのか」との感想が受講生からあった。こちらも何度もコーネル大学RMPジャパンにご登壇頂いた渡辺林治先生(リンジーアドバイス代表)の編著『小売業の実践SDGs経営』(慶応義塾大学出版会22年6月発売)に「SDGs経営と小売業の業績との間には有意な相関関係がある」と指摘がある。直近の業績好調な企業はSDGs経営を重視し、CSR報告書の作成や環境配慮型商品の導入などに積極的に取り組んでいるのだ。

小売企業はサステナビリティを経営戦略に融合させた、SDGs経営に取り組むことが重要になっている。

(2022・09・05)