「勝つスーパーは製造業」(日経MJ)・・・

小売業を取巻く環境は厳しいものがある。コロナ禍はオミクロン株となって爆発的な拡散があった。少し減少傾向は見られるものの高止まり感は拭えない。ロシアによるウクライナ侵攻は終わるどころか泥沼化しているし、中国による台湾の恫喝は新たな問題として気がかりだ。値上げラッシュは、年末まで続きそうだし、エネルギーコストをはじめとする諸経費増の要因も解消されそうにない。

▼このような環境下にあって、こだわりの自社商品を自社で作って商圏を広げる製造小売業(SPA)を進化させた「製造業型」経営がSMの勝ちパターンの1つとなりつつあるとの記事があった。「勝つスーパーは製造業」のタイトルで、独自開発商品を売りにするスーパーマーケット各社の動きを報告していた。(日経MJ・8月26日号)

スーパーマーケット統計調査でも、7月の既存店売上高は前年同月比0.1%増ではあったが、6月2.6%減と3カ月連続の前年割れが続いていた。コロナ渦による特需の縮小と物価高で消費者の節約志向が高まっている。

▼コーネル大学RMPジャパン修了生のいる企業2社の様子が掲載されていた。

成城石井は自社開発の商品を製造する工場「大和第3セントラルキッチン」(神奈川県大和市)を、約66億円投じて新設し、8月から本格稼働を始めたとある。延べ床面積約1万㎡は既存2工場(東京都町田市)合計の1.8倍のサイズになるという。自社製造商品の売上構成比約20%、これを25年までに30%へと増やす方針で、将来は地方にセントラルキッチンを設け卸売としての側面を更に強化することも「1つの選択肢」とある。

エムアイフードスタイル(東京・新宿)のクイーンズ伊勢丹は、21年度の売上高のうちPBの比率は20%。10年前の3%から大きく伸ばした。自社工場で製造し「ライフ」など他のスーパーにも卸しているとある。

▼開発(PB)商品も発展段階を考えると、第一世代のジェネリック戦略で)、ノーブランド、低品質で、NBに比べて悪い品質のイメージ、NBよりも20%以上低い価格、価格が主な購入要因から、今や第五世代を迎えようとしている。米国「アルディ」のPB戦略に代表されるような商品作りが進んでいくであろう。さらに、ECを代表するような顧客接点多様化時代のPB商品づくり、新しい意味での価格破壊的なPB商品づくりが主役になろうとしている。

(2022・09・06)