効果的な投資や効果的な待遇改善を・・・

JNNの世論調査によると岸田内閣の支持率が48.1%であるとの報道(9月4日)があった。8月の調査から9.4ポイントの低下で、支持できないは9.0ポイント上昇の48.3%になっている。岸田政権発足後の最低の支持率であり、5割を切った上に「不支持」が「支持」を上回った。大臣や自民党議員らと旧統一教会との接点が次々と明らかになっていること、安倍元総理の国葬をめぐる政府の決定プロセスに反発の声が高まっていることなどが要因になっているものと見られる。

▼ただ、読売新聞の世論調査では、前回に比べほぼ横ばいだった。いつも思うことだが、内閣支持率などの世論調査は、調査企業によって何で数値の差が出るのか不思議だ。質問の仕方の違いによるというのが専門家の説明になる。例えば質問に対して、「わからない」と答えた場合、それらの回答者をそのまま残すか、「どちらかと言えば」と再質問して分類していくかで差が出るという。絶対値を見ることより傾向を見ることが必要のようだ。

この政権、物価対策はどのように考えているのだろう。

▼物価・賃金・生活総合対策本部の会合の結果、ガソリンや輸入小麦の価格抑制で追加策を講じるよう指示が岸田総理から出た。ただ、補助金を出してガソリンや小麦などの価格を人為的に抑えるやり方は直接的な物価対策になり国民は喜ぶのだろうが、価格を通じた市場メカニズムを損ねる事にならないのか、変化に適応する能力を阻害する問題をはらむ事はないのかと考えてしまう。 財政負担で輸入小麦価格の抑制を続ける方針も示しているのだが、世界の食料情勢が激変する中、国産の小麦を増産することで食料安全保障を強化する機会とも思える。農業生産者からは現状を知らない意見と一笑に付される事は承知だが、国内増産に向けて必要となる品種改良やインフラ整備にお金を投じようという動きは希薄に思える。国民の不満を抑える受動的な対応に一生懸命で、物価高をテコに経済構造を変革しようとの姿勢は弱い。

▼振り返れば、就職した直後に第1次石油危機に見舞われた。1970年代半ばの事になるが、この時も国民の生活を守る対策は一定程度行われた。しかし20%を超すインフレ率の中、省エネへの危機感は強く、政府は石油節約運動として日曜ドライブの自粛などを呼びかける一方、石油の国家備蓄、工場や輸送の省エネ化、太陽光や地熱、水素など代替エネルギーの開発、原子力発電や天然ガスの本格利用を開始したのだ。その結果、日本の石油輸入量は大きく減少するほどの構造変化が起きた。その後の技術の革新を考えると、当時のような成果は出ることはないだろう。それでも、例えばEV車購入補助や住宅の断熱化などに補助金を投じれば、その効果は無視できないと思う。財政政策を経済構造改革のために使うのも必要と考える。

国民の不満をかわすことだけに汲々とするなら、国力の差はますます開くのではないだろうか。勿論、企業経営でも同じで、効果的な投資や待遇改善を実施して欲しいものだ。

(2022・09・07)