愛知県でスーパーマーケット「クックマート」を展開する株式会社デライトが、ファンド運営会社であるマーキュリアインベストメント(マーキュリア)との戦略的資本業務提携を発表した。このデライトの白井健太郎社長は、コーネル大学RMPジャパン第4期の修了生になる。今月5日に発表された戦略的資本業務提携だが、ローカルスーパーがファンドから成長のための出資を受けるケースは珍しいものである。デライトのホームページから広報内容を見てみたい。
▼1995年に「クックマート」1号店を開業。現在、東三河~浜松エリアで12店舗を展開し、21年度末の年間売上高307億円(対前年度比3.0%増)、10年以上に渡り売上最高記録を更新、地元で高い支持を獲得している企業である。「リアル×ローカル×ヒューマン=地域の活気が集まる場所」をミッションに掲げ、大手企業にもIT企業にもない独自のリアル店舗・組織文化づくりを強みとしている。
一方、マーキュリアは、非公開企業投資をはじめ、不動産や航空機など多様な領域へ投資している日本政策投資銀行を源流とするファンド運営会社で、クロスボーダーをテーマに、国の壁・心の壁・世代の壁を越えて企業の成長を加速させることを使命としている。既成概念を破って成長する企業、既成要素の新たな組み合わせにより障壁を突破して成長する企業等の成長を支援しているとある。
▼背景については、「2020年に創立25周年を迎え、パンデミック、人口減少、気候変動、テクノロジーの急速な発展など、世界が歴史的な転換期にある現在、更なる成長発展のためには、今までの常識とは異なる、ローカル×スーパーマーケットの枠組みを超えたブレイクスルーが必要であると感じるようになりました」とある。そして、「持ち味の違う2社の協業により、地元密着型の食品スーパーであるクックマートの更なる磨き上げを行うと同時に、新たな時代の問題解決となり得る事業モデルの構築に向けて、様々な取り組みを開始していくという試みであります」と述べている。
▼今後の展開だが、クックマート株式会社に社名変更し、持株会社であるデライトホールディングス株式会社の下にクックマート株式会社という体制を取り、マーキュリアより社外取締役を迎え入れて経営基盤の強化、組織づくりや店舗運営ノウハウの体系化。これを生かして既存店を磨き上げるという。また、出資により出店ペースを上げ、500億円規模まで伸ばせると見ているようだ。
白井健太郎社長は、「異なるバックグラウンドを持つ専門家集団とのコラボレーションこそ理にかなっている。ローカルスーパーの次世代の成長モデルを実現したい」と意気込みを語っている。ますますのご発展、ご活躍をお祈り申し上げたい。
(2022・09・08)