コーネル大学RMPジャパンでの修了生を多く出している株式会社マミーマートが、「生鮮市場TOP」業態に舵を切っている。TOPは、生鮮を強化した市場型DS業態になる。日配やグロッサリーはEDLPで地域一番価格、惣菜は専門店に負けない味・品質・品揃えの三つを柱とし、「行くのが楽しくなる食の専門店」をコンセプトに掲げる。これまでも屋号としてTOPは存在したが、ニューフォーマットとしての1号店は坂戸入西店(19年11月)になる。三つの柱を取り入れたTOP業態は現在20店まで拡大している。
▼生鮮三品は、それぞれ専門店風の打ち出しをし、天井から吊り下がる装飾や照明の当て方にも特徴がある。勿論、価格も安い。一方で、価値ある商品も随所に並びDSにはない買い回りの楽しさも提供している。差別化の目玉は惣菜だ。スーパーマーケット・トレードショーの「お弁当・お惣菜大賞」を9年連続入賞するなど、惣菜に力を入れてきた企業でもある。「お弁当・お惣菜大賞」受賞商品を含めて独自色を出しての売場づくりが見られる。そして、マミー業態からTOP業態に転換した過去7店舗の売上げは、改装前比で平均して2倍超、特に客数の大幅アップに繋がっているという。
また、マミーマートは、「国連UNHCR協会」に店舗スペースの一部を提供して実施する「国連難民支援キャンペーン」も35回を数えている。
▼生鮮市場TOP川越店には、自社の鮮魚部門と棲み分け補完する形で鮮魚専門店「角上魚類」が配置されている。このコーナーも地元顧客からの信頼は絶大のものである。年末の売上高は脅威の額のようだ。角上魚類は、“魚離れ”が叫ばれるなかでも成長を続ける競争力であり、注目を集めている。角上魚類ホールディングス全体の実績ではあるが、店舗数22店舗での売上高は、21年度は401億円(前年同月比1.7%増)で、コロナ前の19年度との比較では約48億円の売上増を店舗数を増やすことなく実現している。主力であった寿司や刺身に加え、ご飯ものとして弁当も強化が見られることから魚惣菜が大きく伸びているのだろう。「海鮮天丼」や「銀ダラ西京焼き弁当」などヒット商品のようだ。
▼“魚離れ”というが日本人は魚を好んで食べる国民だ。角上魚類の売場は、新鮮な丸魚を豊富に揃え、買いやすい価格で販売している。特に対面販売での魚の特徴や食べ方の説明、要望に合わせてその場での加工処理、そして魚本来の魅力を伝え、好きになってもらえるようにアプローチしている姿に買い物が楽しくなりそうだ。
生鮮市場TOP川越店の単店の話題をしてしまったが、マミーマートは「Enjoy Life!」をグループコンセプトに掲げ、「新しい売り方の確立と人財育成」をメインテーマに重点施策に取組んでいる。22年5月に業態転換した「マミープラス」西平井店は、低価格を実現させるローコストオペレーションを進化させた業態という。新しいイノベーションを支えるのが人材育成施策になっているのだろう。
(2022・09・17)