商品を売るのに、機能・用途に加え「物語」があると効果的だと言われた。特に自社開発商品、開拓商品には必要になる。この情報を伝える手段のひとつであったスマホ用アプリの機能が、ずいぶんと発展してきている。スーパーマーケット(SM)各社も、商品開発・開拓の物語やレシピなどの情報が増えた。最近では、オンライン購入や、掲示板的なコミュニティ機能までも備える企業がある。
▼ただ、各社のアプリ担当者の声を聞くと、お客さまの活用という面ではこれからだろうと言い、スマホへのダウンロード数が思うよう伸びないと悩んでもいる。SMのスマホ用アプリは、ポイントカード代替、チラシ代替から始まった。その後でポイントカードの代替機能が加わり、クーポン機能までも付加されている。最近では、レシピ紹介が充実しており驚く企業もある。その時の主力商品、重点商品と掲載レシピが連動して、メニュー提案に結びつけられているケースも増えている。SMの情報発信もマルチメディア化して来た。
▼ただ、情報量は増え、内容の充実は図られているものの売上増に繋がっていると言えないのだ。担当者からすれば、「まだ全然ダメ」と言わざるを得ないようだ。利用客のほとんどがポイントカードの代替として、ポイントをつけるために使用しているので、アプリを起動させるのは、レジ前が多いという。なんとか来店前にアプリを開き、情報に触れる状況を作り出したいようだ。
リアル店舗での買物の場合、買物はお客さまが店舗に立ったときから始まるようで、これまでの習慣で培ったものなのだろう。実店舗の宿命なのかも知れない。ただ、店舗から届けられるネットスーパーでは、店舗に立たずとも成立している。結局、買物は必要に照らし商品を探すときから始まるということだ。
▼買物は、与えられる情報から始まることは低いようだ。チラシ掲載の商品も、一人のお客さまが買うのは数品しかないという経験をしてきた。余談だが、現在の販促の主体がカテゴリー割引にウェートを移しているのもこの事に依るのではないかと思う。オンラインショッピングでも、与えられた情報よりも、自ら検索した情報を主体としている。個別の商品を探すというより、カテゴリーの検索から始まることが非常に多いはずだ。
米国では、ショッパブルレシピを導入するSMが増えている。ネット上でレシピを検索・選択し、それに必要な食材がそのままオンラインで買えるプラットフォームのようだ。レシピサイトとネットスーパーが組み合わさった利便性が訴求のポイントにナっている。Amazon.com、Walmartも追随しているので、その効果を検証する必要がある。
(2022・09・30)