イオンも、第2四半期決算、過去最高・・・

イオンは5日に2022年3~8月期の連結決算を発表した。それによると純利益は180億円と前年同期比4倍の好成績であった。新型コロナウイルス下での客足の回復でショッピングモールや総合スーパー(GMS)事業の損益が改善した結果である。一方、U.S.M.Hなど物価高を受けた買い控えで食品スーパーは振るわなかった。お客さまは節約志向を強めている。相次ぐ値上げが小売業の業績への影響は大きくなりそうだ。

▼イオンの営業収益は4兆4871億円(前年同期比3%増)、営業利益958億円(同23%増)だった。会計基準の変更があったが、単純に比較して、いずれも過去最高だった。8事業のうち5事業で営業増益または損益が改善している。特に行動制限の緩和で、ディベロッパー事業の営業利益は230億円(同16%増)であった。ヘルス&ウエルネス事業も235億円(同6%増)と堅調だった。GMS事業は構造改革が進み大幅に損益改善が進んだが、電気代などの経費負担が増えて結果、37億円の営業赤字である。

▼食品スーパー(SM)事業は巣ごもりの反動と節約志向を受けて来店客数などが減っている。3月以降、傘下のSMの大半で既存店売上高は前年割れが目立つ。SM事業の営業利益は85億円で、前年同期から40%減少した。

SM事業の主な企業のひとつであるU.S.M.Hの業績を見てみると、営業収益3532億円、営業利益22億円(同57.8%減)、経常利益が24億円(同56.2%減)、四半期純利益が8億円(前期比71.3%減)の減益である。この3月から会計基準の変更適用があり、増減率の表示はないが単純に比較すると昨年実績は3606億円である。既存店客数は前期比1.9%減、客単価が同1.2%減であった。

▼単体の決算は、マルエツが、営業収益1871億円(同3.4%減)、営業利益11億円(同57.0%減)、カスミが、営業収益1422億円(同1.0%増)、営業利益17億円(同28.2%減)、マックスバリュ関東は、営業収益213億円(同5.0%減)、営業利益▲1億円であった。コロナによる行動抑制の反動やリモートワークの普及によって生活行動が多様化したこと、さまざまな業態での食品市場への参入、ECやデリバリーなどの新しいチャネルの影響があったとしての対策強化が打ち出された。“家計のやりくり”に貢献するとして次の3店を打ち出していた。それが、① コモディティ価格体系再考、② 付加価値商品拡大、③ PB拡大である。

SM各社9月度実績の発表が始まっているが厳しい状況である。今後の業績の重荷は、更なる値上げになる。帝国データバンクによると、家計の負担は食品だけで年約7万円高まる見込みとある。各社の年末年始への戦略に期待したい。

(2022・10・09)