改めて記すこともないが、「物流の2024年問題」とは、時間外労働の上限規制などに代表される働き方改革関連法の施行に伴い、物流業界で生じる様々な問題を示す言葉になる。具体的には24年4月1日以降、自動車運転業務の年間の時間外労働時間上限は従来の1176時間から960時間となる。また時間外労働の給与の割増率は25%から、月60時間を超える分は50%以上に引き上げられるというものだ。
▼運送会社では、収入減少によるドライバーの離職や売上の減少が懸念され、荷主企業にとっても運賃値上げの可能性が危惧されている。取引先から食品スーパーの物流センターまでの物流効率化に関する業界の動きだが、「首都圏SM物流研究会」が解決に向けて取り組んでいる。小売業者が連携してサプライチェーンの商慣習見直しに挑戦するこの取り組みは、製・配・販連携協議会のサプライチェーンイノベーション優秀賞を受賞している。
▼「首都圏SM物流研究会」は、23年3月16日にサミット、マルエツ、ヤオコー、ライフコーポレーションの4社で発足した。① 加工食品における定番商品の発注時間の見直し、② 特売品・新商品における発注・納品リードタイムの確保、③ 納品期限の緩和(2分の1ルールの採用)、④ 流通BMSによる業務の効率化の4項目を設定、推進している。今起きている物流の問題は、製・配・販の流通全体での効率化が必要になる。
▼経済産業省は「フィジカルインターネット」の実現を2040年までと目標にしている。これは、トラック等が持つ輸送スペースと倉庫が持つ保管・仕分スペースのシェアリングによってそれら物流リソースの稼働率を向上させ、より少ない台数のトラックで荷物を効率的に輸送しようとする革新的な物流システムのコンセプトとある。経済産業省と国土交通省は、実現会議で2040年を目標としたロードマップ(22年3月)を取りまとめている。
※ イオン北海道、トライアルホールディングス、北雄ラッキー、西友の小売4社もアイアイ・テーなど物流5社と「北海道物流研究会」を発足させている。(23年5月18日)
2023/10/05