大谷翔平選手のグラブ寄付に思う・・・

「野球しようぜ!」。11月9日、米大リーグ、エンゼルスからFAとなった大谷翔平選手が、寄贈するグラブの画像とメッセージがインスタグラムに投稿された。日本国内にある約2万校の全小学校に約6万個のジュニア用グラブを贈るという、規格外の大谷らしい壮大な企画だ。去就に関する話題が尽きない一方で、彼のグラウンド外の行動にも脚光が集まっている。確かに、米国には盛んな寄付文化があり、コーネル大学のキャンパスにも著名人寄付による記念施設がいくつもある。

▼米国では、著名人が当然のように超高額の寄付をしている。投資家のウォーレン・バフェットやマイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、これまで数百億ドルを寄付したと聞いたことがあるし、プロバスケットボールで活躍したマイケル・ジョーダンが病院設立などに多額の寄付をしている。確か、今年は難病の子どもたちの支援に1000万ドルを寄付するとの発表があったと思う。日本にはこのような寄付の文化は根付いていないのだろうか。

▼「日本ファンドレイジング協会」によると、この協会、09年に寄付・社会的投資が進む社会の実現を目指して設立され、民間非営利組織のファンドレイジング(資金集め)に関わる人々と、寄付など社会貢献に関心のある人々のためのNPOとして、子ども向けの社会貢献教育、遺贈寄付の推進、寄付白書の発行などに取り組んでいるのだが、日本の20年の個人寄付は1兆2126億円で10年前の約2.5倍に伸びているという。

▼ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が2020年に、京都大学のがんやiPS細胞の研究に100億円を寄付した件、ソフトバンクの孫正義会長兼社長も東日本大震災時に同じく100億円の寄付をした事など、多くの著名人による寄付の報道を聞いている。ただ、22年に英国に本部がある慈善団体が発表した調査によると、「慈善団体に寄付をした」と答えた日本人は18%で119カ国中103位だった。米国には宗教的に「見知らぬ人を助ける」という精神的な基盤があるが、日本人は、寄付によって何がどうなるという設定がないと、あまり積極的になれないのかも知れない。

2023/11/13