また乗り遅れてしまう事のないように・・・

あるマーケティングに関する会議の席で、足元の小売業が抱える課題は、1980年代に抱えていた問題と似通っていると発言させてもらった。原因、要因は異なることは十分承知の上のことだ。その当時も食料やエネルギー価格の急騰で物価も大幅に上昇していた。「良い品をどんどん安く」が顧客の支持を得て、ダイエーは1980年2月16日、1兆円の年度売上高を達成したとのニュースが流れた頃になる。

▼しかし、2年もせずに業績に急ブレーキがかかる。売上高にかげりが出て、在庫増加、不良在庫の増加などで資金繰りが悪化していった。小売業ではPOSレジの導入が始まり、業務改革や、「単品管理」が普及し始めたが、現場で売場マネジメントに生かされることは少なかった。活用するための組織改革が進むまでは、それまでと同じように経験や勘が中心だったように思える。振り返ると変化を嫌う官僚主義化組織の中にいるようだった。

▼米国でも同じような問題に直面していた。工業など基幹産業が国外へ移転、労働者の多くがサービス業に移行し、非正規労働者の増加により賃金水準の低下もあった。食品小売業をはじめとしたディスカウント型フォーマットが伸長した。価格競争は激化し、合併•買収などで業界再編が加速、ドラックストアも食品をラインロビングするなど業態を超えた競争に入っていった。現象的には、足元の日本小売業の現状によく似ている。

▼それまで、食品スーパーも有利な時期にそのとき必要な量を超える商品を購入する「フォワードバイイング」を武器に急成長したが、自らのコストだけを優先した取引条件による調達時代が終焉を迎えようとしていた。それは全体最適ではなく、部分最適であったからだ。解決するに、百貨店業界が製販一体となって取り組んだ「QR(クイック・レスポンス)」に始まり、「CR(コンシューマー•レスポンス)戦略」、「ECR(エフィシエント•コンシューマー•レスポンス)」と波及した。業績が良い今こそ「DX戦略」に本腰を入れ、消費者にとっての付加価値をいかに高めるかを追求しないとまた乗り遅れてしまいそうだ。

2023/12/04