昨年はディスカウントストア(DS)が躍進した年だった。現役世代は賃上げの恩恵があったが、それも一部で、全体的には物価上昇に追いついていない。特に年金暮らしのシニア層の支給額も物価上昇分の増額はない。結果的には節約志向は強まっており、DS勢がその受け皿となった。「オーケー」の上期の単体業績は、前期比12.6%増の売上高3046億円、営業利益も同21%増の169億円と2桁増を達成した。売上でSM業界3位になった。
▼昨年10月に開店したオーケー銀座店は、「銀座でSMは難しい」という意見が支配的であったが、盛況が続いている。オーケーは、販管費率16%台をベースに地域一番の安さを打ち出し、大量販売を実現する。上期の既存店売上高前年比8.8%増、客数も5.8%伸ばしており、この伸び率は、既存店前年比公表の企業の中では最も高い伸び率であった。今期の出店は10店舗を計画し、5年ぶりに2桁の出店になる。
▼一方の雄、「ロピア」も、12店舗の新店、更に台湾に2号店を開店している。福岡では4店を一気に出店した。話題になっているのが、宮城県の仙台ヨドバシ店だ。福岡の「トライアルカンパニー」も小型店「トライアルGO」を大量出店している。「マミーマート」もDSへの転換宣言し、今後は広域型DS「生鮮市場TOP」と小商圏DS「マミープラス」を改装と新店で増やす方針を掲げている。ベルクは群馬県高崎市で不振店をDS業態「クルベ」に転換、安さでお客を取り込むなどありDS業態が一気に増殖している。
▼24年もこの勢いは続き、見所のひとつがオーケーの関西進出になりそうだ。大阪府東大阪市に11月、1号店を出店する計画であり、兵庫県尼崎市、神戸市にも予定があると聞く。オーケーの出店によりどれほど関西市場に影響を及ぼすかは注目されている。SMにとって驚異の存在である。個店での価格対応や事前の店舗改装、生鮮・惣菜の差別化などによる戦いになるのだろうが、対抗策を持たないSMにとっては厳しい戦いとなりそうだ。
2024/01/06