能登地震、日航機事故など大変な幕開けの2024年だったが、小売店の初売り商戦は好調な滑り出しであった。新型コロナウイルス感染症5類移行後初の正月は、インバウンドの客足も増え、特に百貨店、家電量販店や総合スーパーでは、食品の福袋や財布などを買い求める客で賑わいのある正月であった。百貨店の福袋では食品の売れ行きが良かったようだ。帰省などで家族や知人で集まる機会が増加したのであろう、すき焼き用の黒毛和牛や刺し身といった生鮮食品の福袋が目についた。
▼三越伊勢丹や高島屋、大丸松坂屋百貨店などの初売りは2日から始まった。松屋銀座店は働き方改革のため例年より1日遅い3日に開店した。各社とも今年の初売り商戦は、大盛況の様子であった。国内富裕層に加えてインバウンド客の動きが活発で、高島屋日本橋店では約430種類の福袋を用意。食料品をお得に買える数千円の福袋から抽選販売の「新築住宅福袋」(3500万円)まで幅広く揃えた。西武池袋本店は、1日の客数は前年比8%増の約35万人、売上高は6%増だったある。
▼百貨店の免税売上高は23年下期から過去最高を更新するペースが続いている。今年も引き続き訪日客が消費を底上げすることになりそうだ。百貨店業界にとって昨年は、久しぶりに良い業績の1年だった。流通業界の中で最もコロナ禍の影響が甚大だったが、急速な回復を続けた。年間売上高はコロナ禍前の19年の5.7兆円には届かないだろうが、5兆円に4年ぶりに到達するのは間違いないと思う。
▼百貨店好調の要因だが、一つはインバウンド需要回復の継続だが、もうひとつが富裕層向けの好調な売り上げにある。コロナ禍、各社とも外商の強化を図ってきた。特に話題に上るのが、三越伊勢丹HDで、外商売上高は、22年の2042億円、今期も2200億円超は確実だという。そして、百貨店以外の商品の販売・紹介も活発で、高級外車やリゾートマンションなどもあったと業界誌がレポートしていた。コーネル大学RMPジャパンの1月の講義テーマは、取巻く環境の分析にあるので他業態の動向を整理しておきたいと思う。
2024/01/12